校長室より

2025年4月の記事一覧

入学式 式辞

式辞

  春の日差しが柔らかさを増し、本校の桜の花も咲き満ちてきたこの佳き日に、本校PTA会長様、同窓会会長様をはじめ、ご来賓の皆様並びに保護者の皆様のご臨席を賜り、埼玉県立蕨高等学校 第69回入学式を挙行できますことに、改めて御礼と感謝を申し上げます。

 ただ今、357名に対しまして、入学を許可いたしました。

 新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。

  本校は、創立69年目を迎える歴史と伝統を誇る高校です。目指す学校像として「生徒の進路希望を実現する文武両道の進学校~グローバルな視点を持ち次世代のリーダーとして活躍できる人を育てる~」を掲げ、普通科・外国語科ともに高度な授業、充実した進学補習、きめの細かい進路指導で、生徒一人ひとりの学力向上と進路希望の実現に向けた取組を積極的に推進しております。

  さて、新入生の皆さんは、今日から本校で3年間の高校生活が始まりますが、本校での高校生活が充実したものとなるように、三つの心がけをこの機会にお話ししたいと思います。

 一つ目は「自分の志を立てる」ということです。先ほどご紹介した、本校の目指す学校像にある生徒の進路希望を実現と謳っているとおり、みなさんも大学への進学を希望しているところだと思います。そこで、単に大学へ進学するという漠然とした希望だけではなく、大学で何を学びたいのか、大学で学んでどのような職業に就きたいのか、も考え大学受験に臨んでほしいと思っています。

 そのためには、進んでいろいろな経験を積んでほしいと思います。部活動や学校行事ばかりではなく、学校外での活動など、見聞を広げていってほしいです。まだまだ知らないことがたくさんあります。年齢が上がるにつれて行動範囲も広がります。もしかすると、大学での経験で大きく方向性が変わるかもしれません。自分の志を立てつつ自分自身の可能性を広げていってほしいです。

  二つ目も、目指す学校像にある「文武両道」です。部活動、生徒会、委員会、国際交流などにも一生懸命に取り組んでほしいです。理由が3つあります。1つは、部活動等の活動では、クラスや学年を超えて生徒同士の付き合いがあります。その中で先輩・後輩への接し方、コミュニケーションの取り方、相手の気持ちを察することなど、授業だけでは得られない非認知能力の向上の期待ができます。そして1つとして、時間の使い方がうまくなります。いろいろ活動するとなると、勉強の時間が限られてきます。宿題やら明日の予習などを効率よく行わないと終わりません。勉強への集中力が付くようになります。そしてもう1つは、特に部活動では、社会人になっても社会人サークルなどで活動し、一生付き合えるものを得られるかもしれません。仕事のストレスから解放されるような趣味となり、それが身体的・精神的・社会的に良い状態をつくり、生きがいや人生の意義などの将来にわたる持続的な幸福感を得られる、いわゆるウェルビーイングの向上につながるものと考えます。

 心がまえの三つ目は「リーダーたるにふさわしい資質・能力を身に付ける」ということです。そのためにも何事にも積極的になってほしいです。コロナ禍の3年間は世界の活動が本当に止まりました。世界を一変させる急激な変化でした。このような急激な変化はこの後も起こるといわれています。南海トラフ地震でも起こったら日本の社会は大打撃を受けるでしょう。そのようなときに、助けを待つ身ではなく、打開していく人材になってほしいです。勉強を軸としながらも、部活動等などに全力で取り組み、汗や涙を流しながら、熱い3年間を過ごして、仲間や先生とともに最後まであきらめることなく挑戦する気概を育んでほしいです。

  保護者の皆様におかれましては、お子様のご入学、誠におめでとうございます。9年間の義務教育を終えられて、希望と期待に胸を膨らませ、高校生としての第一歩を踏み出すお子様の姿を目の当たりにされ、感慨もひとしおのこととお喜び申し上げます。これから3年間、私ども教職員一同、保護者の皆様と手を携えて、お子様の成長を支えていきたいと考えています。このご縁を大切にしたいと思います。ぜひ本校の教育方針を十分ご理解いただき、ご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

  結びに、3年後の卒業式の際、ここにいるすべての生徒・保護者の皆様が「蕨高校にきて本当によかった」と思えることを心から願い、式辞といたします。

  令和7年4月8日

                       埼玉県立蕨高等学校長 小川 剛