校長室より

2023年12月の記事一覧

12月全校集会 校長講話

 皆さんこんにちは。12月の全校集会を迎えました。後期はまだ折り返しですが、修学旅行や強歩大会、3年生の球技大会や外国語科の英語劇発表大会、また各部活動の新人大会など、大変充実した3か月だったのではないかと思います。そして、3年生はいよいよ受験本番を迎えます。現役生はここから、1月、2月、そして3月と、成績が急激に伸びてきます。これまで蕨高校で学んできたことを信じて、健康に留意して、さらに頑張っていただきたいと思います。

 さて、今日は、これから冬休みを迎える皆さんへの激励の気持ちを込めて、10月28日に1年生対象に行われた社会人講演会の中で、皆さんに伝えたいと思った内容を3点に絞ってお話します。講師は、本校32期の卒業生である高山範理さんです。高山さんは東京大学大学院を経て、現在は国立の研究機関である森林総合研究所で研究職を務めています。「森林浴」研究の第一人者としてご活躍ですが、当日は「学び続ける楽しさ:知識の探求と社会貢献」と題してご講演いただきました。1年生は思い返していただきたいと思います。

 1点目は、「目標を持つと人生が変わる」ということです。

 蕨高校ではなかなか勉強に身が入らなかったと謙遜していらっしゃいましたが、高校3年の10月に、よく遊びに行っていた台東区根岸の祖母の家のそばにあった東京大学に出掛け、大学の講義を聞いて衝撃を受けたそうです。「東京大学に行きたい」という思いが募って勉強を始め、浪人や他の国立大学を経て東京大学の大学院に進学され、博士号を取得し、現在の職を得るに至ります。高山さんは後輩である蕨高生に対して、「目標を持つと人生が変わる。目標を持て」ということを強調されていました。

 2点目は、「海外に出て、日本との違いに気付くことが重要」ということです。

 高山さんは大学入学後、一年間イギリスに留学します。そこで、日本では何かを勝ち取る、例えばよい大学に行くために競争して頑張っているが、イギリスでは自分がハッピーになるために勉強する。大学の合格は手段でしかない、ということに気付きます。また、自然環境への考え方の違いに触れることで、現在の「森林浴」研究につながるモチーフを得ることになります。高山さんは、とにかく英語は便利。情報の入り方が変わる。蕨高生にはとにかく英語を勉強することをお勧めするとおっしゃっています。

 3点目は、『ドラゴン桜』の「本質を見抜き、自分なりの答えを出す力をつけろ」は本当だ、ということです。

 高山さんは『ドラゴン桜』の桜木先生のセリフの中で、「勉強はこの国で許された唯一の平等」を取り上げ、これは「手段」とし、その後「本質を見抜き、自分なりの答えを出す力をつけろ」が「目的」だと指摘しています。そして、「答えを出す力」は「知識」と「考える力」の掛け算であるが、「考える力」は奥が深い。さらに、「考える」だけでなく、ちゃんと行動することが重要、と指摘しています。

 以上、高山さんの講演の中で、私が皆さんに伝えたいと感じた3点をお話ししました。いよいよ冬休みです。高山さんの指摘にもありましたが、冬休みは物事を深く考える、また、考えるだけでなく行動に移す絶好の機会でもあります。くれぐれも健康に気を付けて、充実した冬休みを過ごしてください。年明けの最初は土曜授業。1月6日です。お互いに元気な顔で再会しましょう。以上で校長講話を終わります。

バトン部 全国大会壮行会 校長より激励

 ただ今紹介がありましたが、バトン部の皆さんは、11月28日(火)に所沢市民体育館で行われた令和五年度ダンスドリル秋季競技大会関東大会のSONG/POM部⾨ Large編成で1位となり、来年1月14日(日)に、東京都の武蔵野の森総合スポーツプラザで行われるDance Drill Winter Cup 2024・第十五回全国高等学校ダンスドリル冬季大会に出場されるということです。

 まずは、全国大会への出場おめでとうございます。

 本校はLarge編成ということで、2年生10名、1年生17名のあわせて27名の選手の皆さんが出場されるということです。この競技は、一人ひとりの技術もさることながら、全員で心を合わせた演技が求められるだけに、どの選手にもやりがいのある競技なのではないかと思います。当日の試合では、最も華やかで、最も迫力のあるステージとなるよう期待しています。日ごろの練習の成果をいかんなく発揮して、全国大会でもぜひ頑張ってください。応援しています。

32期ホームカミングデー 来賓あいさつ(校長)

 皆さんこんにちは。校長の山本でございます。本日はようこそ、皆さんの母校、蕨高校にお越しくださいました。皆さんを歓迎いたします。

 また、恩師の皆様におかれましては、お忙しい中ご出席を賜りありがとうございます。

 本日は32期の皆さんのホームカミングデーということですので、少し調べてまいりました。皆さんの本校ご入学は1988年、昭和63年と伺っております。この年は、本校にとりましても大変重要な節目の年でございます。まず3月にさわらび会館、部室・卓球場、テニスコートが竣工しました。これは皆さんのご入学前のことでございます。そして5月に創立30周年記念式典が行われ、12月には清流館、食堂の建物ですね、が竣工しています。私事で恐縮ですが、24期生の私が教育実習のため本校にお世話になったのがその前年、1987年、昭和62年でございます。昭和から平成への改元も含めて、32期の皆さんは、本校30周年の一区切りを経て、本校のその後の栄華を極めていく歴史の、まさに第一歩を踏み出された学年、ということになろうかと思います。

 さて、ここでは我らが母校、蕨高校の近況をお伝えするのが私の役割かと存じますが、まずは、10月28日に行われた1年生対象の進路行事「社会人講演会」に触れさせていただきたいと思います。今年は、本校32期の卒業生でいらっしゃる高山範理様に「学び続ける楽しさ:知識の探求と社会貢献」と題してご講演をいただきました。本校でのエピソードから始まり、波乱万丈のご経験をお話しいただいた後、現在のご専門である「森林浴」のすばらしさについて語っていただきました。生憎当日はインフルエンザによる学年閉鎖中でございましたが、オンラインで視聴した生徒はもとより、会場で聴いていた同窓会の皆様や、我々教職員も思わず引き込まれ、講演時間があっという間に過ぎる素晴らしい内容でございました。改めて高山様、ありがとうございました。

 高山様のご講演を伺って、改めて、蕨高生の高校卒業後の多様な進路について、思いを馳せたところでございます。生徒には「大学進学の先を見すえて目標は高く!」とはっぱをかけておりますが、私も含め、人生がストレートにうまくいっているということは、ひょっとするとあまりないのかなと考えております。波乱万丈、紆余曲折、本当に多くの人々の助けを借りながら、現在までようやく辿り着いている、というところにつきましては、皆さんのご賛同も得られるところではないかと思います。

 一つ関連して、本校創立20周年記念誌のエピソードをご紹介いたします。昭和52年発刊とのことです。巻頭言で当時の第8代校長、梶原先生は次のように述べています。

 校章にはワラビの葉三枚が正三角形についている。美しい花を咲かすでもない、ごくありふれた雑草。踏みにじられ顧みられなくても、根強く生き続けるワラビ。胞子を飛ばし、どこに落ちても発芽するワラビ。私はこの生命力を皆さんの前途に託したい。

 そしてこう続けています。「萌えいづる ものみな強し 自立の気風 うけつぎて 蕨高校 永遠に栄えあり」

 私たち同窓生は、実は、母校にこの「生命力」の強さを育んでもらったおかげで、本日こうしてお互いに集うことができているのかもしれません。蕨高校を卒業して本当によかった、との思いを新たにしていただければ幸いです。以上であいさつを終わります。本日はどうぞよろしくお願いいたします。