2023年4月の記事一覧
『進路のしおり』で自分に合った戦略を立てよう(進路のしおり 巻頭言)
40年以上前の話なので記憶が定かではないが、浪人経験者の感覚では、本気になってから1年あれば志望校合格はなんとかなるのではないか。現役合格を目指す皆さんであれば、3年生のはじめということになる。では、本校入学後、何をやっておくとよいのか。本校の卒業生である自らの経験も踏まえ、次の3点についてお薦めしたい。
まずは、「習慣を身に付ける」ということである。
本校は文武両道。皆さんは、勉強に部活動に忙しい毎日を過ごしていることと思う。放課後は部活動で汗を流している人も多いのではないか。ひとつの提案は、朝の時間の活用である。仮に、7時間の睡眠を確保して午前5時に起床するためには、22時には就寝する必要がある。難関大学に合格した先輩の多くが、朝時間活用の有用性を説いている。「朝しか勝たん」を合言葉に挑戦してほしい。
次に、「英語力を高める」ということである。
大学受験は何と言っても英語である。本校に入学してくる生徒のほとんどは、セファールのA2、英検でいうと準2級以上の英語力を持っている。仮に、中学校1年生で英検5級、2年生で4級、3年生で3級を取得すると考える。そうすると高校1年生で準2級、2年生で2級、3年生で準1級を取得できる計算になる。皆さんの多くは入学時点で準2級以上の力があると考えれば、1年生で2級を取得し、2年生で準1級を取得することができる。過去の「受験体験記」によれば、英検準1級を取得すると、大学受験で相当なアドバンテージを得ることができるようだ。流行りのことばで言えば「景色が変わる」ということか。せっかく「グローバルな視点を持ち次世代のリーダーとして活躍できる人を育てる」ことを「目指す学校像」に掲げる本校に通っているのである。すべての皆さんにセファールのB2、英検準1級以上に挑戦することをお薦めする。
最後に、「進路は自分の頭で考えることが重要だ」ということである。
本校では1年生から模試を受ける機会が複数ある。その時点での志望校を考えて書くことで、自分の志望が明確になる。決まっていないのであれば、東京大学でもよい。また、大学のオープンキャンパスに出掛けることをきっかけに、志望校について考えてみるのもよい。高く設定した目標校であればあるほど、1年生のうちに行くことをお薦めする。訪れることによって得ることのできる一次情報が必ずある。
さて、『進路のしおり』である。
中高一貫校に比べ、私たちは、進路実現の準備を3年間で行わなければならない。だからこそ、戦略が必要だ。しかしながら、その戦略は、常に「自分」とのかけ算である。自分用の戦略、自分に合った戦略でなければ意味がない。その「戦略」を立てるためにこの冊子はある。「受験体験記」は情報の宝庫であるが、これも多くの先輩が言っているように、鵜呑みにするのではなく、自分なりにアレンジすることが重要である。
この冊子を活用して自分に合った戦略を立てよう。健闘を祈っている。
第1回PTA・後援会合同役員会 校長挨拶
皆さんこんにちは。校長の山本でございます。本日はお忙しい中、本校のPTA・後援会の第1回合同役員会にご出席くださいましてありがとうございます。
はじめに、令和5年度当初人事異動におきましては、5名が退職、4名が転出し、11名の職員を新たに迎えております。どうぞよろしくお願いいたします。
さて、この春卒業の64期生も大変頑張って、素晴らしい進路実績を残してくれました。国公立大学現役合格105件は、本校歴代2位の快挙ということでございます。旧帝国大学をはじめとするいわゆる難関国公立大学にも、現役で5名が合格いたしました。私立大学も多数合格しておりまして、最も現役合格件数が多かったのが東洋大学でした。以下、明治大学、法政大学、日本大学、立教大学と続いております。さらに、早稲田大学の現役合格件数は、昨年度の14件から8件増の22件、同じく上智大学も8件増の11件と伸ばしております。このように、64期生の残した高い進学実績に、後輩である在校生も大いに刺激を受けているようです。3年生をはじめ、多くの生徒が朝早くから登校して自習しています。本校は文武両道の進学校でございますので、こうした生徒たちの意欲と頑張りを、しっかりサポートしてまいりたいと存じます。
3月には進路速報会ということで、大学に合格したばかりの卒業生から貴重な話を聞くことができました。中には、志望校には合格したものの、本音では、もっと難易度の高い大学で自分の力を試してみたかったと話す卒業生もいました。合格実績には一見華々しいものがございますが、もっと多くの生徒に難関大学を合格させたかったという思いも、我々教職員は共有しております。これらの成果も課題も真摯に受け止め、生徒の指導に取り組んでまいりたいと思います。引き続き、ご理解とご協力を賜りますようお願いいたします。
最後に、今年は3年ぶりに、オーストラリア2週間の渡航による海外短期派遣事業の実施を予定しております。今月14日の金曜日に生徒対象の説明会を行い、60名の出席がございました。定員は30名ということで、希望者多数の場合は選考となります。一定の費用は掛かりますが、コロナ禍明けの海外体験の貴重な機会でございます。お子様からご相談があった場合には、是非とも前向きなご検討をお願いします。
それでは、今年度もどうぞよろしくお願いいたします。
外国語科対面式 校長あいさつ
皆さんこんにちは。外国語科の対面式にあたり、日本語であいさつを申し上げます。
本校の外国語科は平成6年に設置され、今年で29年目を迎えます。1年生の皆さんは、外国語科29期生ということになります。
最初に、外国語科を設置した目的について確認しておきたいと思います。
21世紀はますます国際的に物事が進む時代となることが予想され、国境を越えて展開される活動によって世界はますます狭くなりつつあるが、国際摩擦は経済問題にとどまらず、法律や文化の領域まで広がっている。
問題解決に欠くことのできない豊かな外国語のコミュニケーション能力や異文化に対する深い理解を有した上で、
・ 貿易立国である日本の国際経済をリードできる人、
・ 環境問題、文化摩擦など国際化に伴って生じる様々な問題を複眼的視野に立って検討し、総合的視点から望ましい政策を打ち出せる人や
・ 語学教育を含め、国際人を育成できる指導者
などの人材が求められている。
蕨高校外国語科は、このような時代の要請に応えることを目的とする。
平成6年の設置当時と比べ、社会のグローバル化はますます進展しており、本当の意味で国際社会の場でコミュニケーションができる人材の必要性はますます高まっています。こうした時代の要請を考えたとき、外国語科の皆さんの未来は大変明るいと思います。なぜなら、将来、皆さんがどんな職業を選択したとしても、冠として「英語ができる」と付くからです。「英語ができる」という特色は人材としての希少性、レアの度合いを高めることになり、皆さんの未来は大変明るいということになります。
スピーチコンテスト、英語劇、ディベート、イングリッシュキャンプなど、皆さんの英語4技能を高める仕掛けが、本校の外国語科にはたくさんあります。一方で、本校は普通科の生徒も英語科の先生方のご指導のもと、日々英語力を高めています。こうしたライバルの存在も励みとして、国際社会で真に使えるコミュニケーション力を身に付けてほしいと思います。
最後に、いよいよ3年ぶりに、オーストラリア2週間の国際交流事業の募集が始まります。一定の費用はかかりますが、日ごろの成果を現地で試す絶好の機会です。多くの皆さんのエントリーをお待ちしております。それでは楽しい1年間にしていきましょう。以上で校長あいさつを終わります。
新入生歓迎会 校長あいさつ
皆さんこんにちは。校長の山本です。だいぶ暖かくなってきました。「新入生歓迎会」の挨拶をということで、生徒会の役員から依頼を受けました。1年生の皆さんが先輩から「歓迎」される立場というのは、ひょっとすると今日が最後かもしれません。明日からは蕨高校の立派な「担い手」としてかかわっていただきます。最後の「歓迎会」を、大いに楽しんでいただきたいと思います。
さて、この後先輩方から、部活動や同好会の紹介があると思います。本校は「文武両道」ですから、1年生の皆さんも、本日の部活動紹介を参考に、ぜひとも、気に入った部活動に参加してみてください。
ところで私は本校24期の卒業生ですが、高校では男子バスケットボール部に所属していました。3年間、引退まで継続しましたが、部活動と学業の両立ができず、学校の成績を大いに落とした経験があります。今振り返って思うことは、本当の意味での「文武両道」ということを考えていなかったのではないかということです。本校は文武両道。部活動や学校行事を思いっきり楽しむためには、基礎学力の充実が何より重要です。基礎学力が充実してこその楽しい部活動です。そして、勉強を軌道に乗せるためには、生活習慣の確立が重要です。先日の入学式で話した通りです。自分が蕨高生のときは、この点がすっぽり抜けていました。
1年生の皆さんには、せっかくの高校生活ですから、部活動を思いきり楽しんでもらいたいと思います。そして、生活習慣を整えて、毎日の勉強をしっかり頑張るという、本当の意味での「文武両道」を実践してほしいと願っています。それでは、楽しんでいきましょう。以上で校長あいさつを終わります。
対面式 校長あいさつ
皆さんこんにちは。今日は対面式ということで、今年度初めての生徒会行事ということになります。
まずは1年生、67期生の入学を、みんなでお祝いしたいと思います。ご入学おめでとうございます。皆さんを歓迎します。
さて、2、3年生の皆さんには、3月の終業式で「Wの挑戦」ということばに触れて、「挑戦する蕨高生」を実践しようというお話をしました。先週の入学式では、新入生代表が誓いのことばのなかで「Wの挑戦」に触れ、「夢の実現に向けて努力を怠らず、自ら考え行動し、自立した高校生になろうと思います」と決意を述べてくれました。とてもしっかりした、立派な誓いのことばでありました。67期生は優秀だ、ただ者ではない、そんな印象を持ちました。
今ここにいる皆さんは、「Wの挑戦」という、ひとつの旗印のもとに集まっているということになります。見てください。これだけの人数です。これはすごいことです。これだけの数の生徒が一致団結、協力すれば、どんなことでもできるのではないか。そんなワクワクした気持ちになります。
今日は対面式。皆さんは出会ってしまいました。部活動や委員会活動、様々な生徒会行事がありますが、是非とも、お互いに高めあって、蕨高校の新しい歴史をつくっていただきたいと思います。以上で校長あいさつを終わります。
第67回入学式 式辞
華やかな桜の花をはじめ、たくさんの花が咲き誇り、樹木の緑が芽吹き、すべて生命あるものが生き生きと躍動を始めるこの佳き日に、ご来賓、保護者の皆様のご臨席のもと、埼玉県立蕨高等学校 第67回入学式を挙行できますことに、改めてお礼と感謝を申し上げたいと存じます。
ただ今、360名に対しまして、入学を許可いたしました。新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。
本校は、創立67年目を迎える歴史と伝統を誇る高校です。目指す学校像として「生徒の進路希望を実現する文武両道の進学校~グローバルな視点を持ち次世代のリーダーとして活躍できる人を育てる~」を掲げ、普通科・外国語科ともに高度な授業、充実した進学補習、きめの細かい進路指導を貫き、生徒一人ひとりの学力向上と進路希望の実現に向けた取組を積極的に推進しております。
さて、新入生の皆さんは、今日から本校で3年間の高校生活が始まりますが、高校時代は皆さん一人ひとりの人生の土台をつくるという点で、大きな意味を持っています。実は、私は本校24期の卒業生です。ご縁があり、昨年度、母校である本校に着任しました。皆さんの新たな高校生活のスタートにあたり、本校を卒業した先輩という立場も踏まえ、私は三つの心がけを、皆さんにお話したいと思います。
一つ目は「自分の志を立てる」ということです。
高校の3年間で、将来自分は何を学ぶのか、どのような職業に就くのか、また、どのように生きていくのかを徹底的に考えて、進路先を決めるということです。人は誰しも、社会で果たすべき使命、役割があるといいます。とりわけ重要なのは職業です。この高校時代においては、単に大学・学部を選ぶだけでなく、大学卒業後の先にある職業についても十分に考える必要があります。どんな職業を志すか、どんな生き方を志すか、たった一度の人生を賭けて何を実現したいのかといったことを徹底的に考え、人生を構想するのです。その思いは、結果として変わっていくかもしれませんが、高校時代に真剣に考え抜いていくかどうかが、その後の人生を価値あるものにしていくかの鍵を握っていると思います。
二つ目は「リーダーたるにふさわしい資質・能力を身に付ける」ということです。
皆さんが生きていくのはグローバル社会です。人、モノ、金、情報が瞬時に世界中でつながっていく社会の中で生きていくことになります。国籍や価値観も異なる多様な人々とチームを組んで、人々のよさを引き出し、それらを束ね、成果へとつなげていくことが求められます。英語の4技能を駆使し、グローバル・リーダーとしてチームで協働しながら新たな知を創造していく能力が求められるのです。クリエイティブなものを創り上げていく前提となるものは、教養だと考えます。幅広い教養の土台の上に高度な専門性を積み重ねた延長上に、新たな知を生み出していく手掛かりがあるのだと考えます。本校では、様々な科目を幅広く学びます。どの科目も知性と感性・健全な心身を育むために欠かせないものです。まず何よりも本校での授業を大切にして、確かな思考力を身に付けてください。
また、学習を軸としながらも、行事や部活動などに全力で取り組み、汗や涙を流しながら、熱い3年間を過ごしてほしいのです。そうすれば、自ずと進路実現についても、仲間や先生とともに最後まであきらめることなく挑戦し、頂上へたどり着くことができるはずです。
三つ目は「蕨高生としてのスタイルを身につける」ということです。
「Wの挑戦」という本校の合言葉を聞いたことがあると思います。蕨高生は夢の実現に向け挑戦する中で、困難に負けない強い精神力と、困難を切り抜ける柔軟な発想や思考力を身につけていきます。キーワードは「文武両道」です。蕨高生は代々、学習、部活動、学校行事に全力で取り組んでいます。とはいえ、この文武両道、「言うは易く、行うは難し」という側面も持ち合わせています。皆さんは自らの進路希望を、高校の3年間という短い時間で実現しなければならないというミッションを抱えています。多くの生徒が、学校の授業のほかに、家庭学習の時間を確保するという課題に直面します。何よりも大切なことは、自らの一日の生活のリズムを整えるということです。昔から「早寝早起き」と言います。健康は何よりも大切です。例えば、朝5時に起床して、夜は22時には就寝するなど、自分に合った生活のリズムを確立することを通して、蕨高生としてのスタイルを身につけてほしいと思います。
保護者の皆様におかれましては、お子様の御入学、誠におめでとうございます。9年間の義務教育を終えられて、希望と期待に胸を膨らませ、高校生としての第一歩を踏み出すお子様の姿を目の当たりにされ、感慨もひとしおのこととお喜び申し上げます。これから3年間、私ども教職員一同、保護者の皆様と手を携えて、お子様の成長を支えて参りたいと存じます。ぜひ本校の教育方針を十分ご理解いただき、ご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
それでは、3年後の卒業式の際、ここにいるすべての生徒・保護者の皆様が「蕨高校にきて本当によかった」と思えることを心から願い、式辞といたします。
令和5年4月7日
埼玉県立蕨高等学校長 山本 康義
前期始業式 校長講話
おはようございます。新しい年度がスタートしました。春休みはいかがだったでしょうか。充実して過ごすことができた方も多かったのではないかと思います。
この春休みに、バトン部の全国大会と音楽部の定期演奏会に足を運びました。ともに日ごろの練習の成果を発揮した、素晴らしいアウトプット、表現であると感じました。音楽部は美しく迫力のある歌声に圧倒されました。バトン部は全国3位ということで、素晴らしい成果を挙げたと思います。おめでとうございます。
さて、素晴らしい成果と言えば、この春卒業した64期生も、素晴らしい進路実績を残してくれました。国公立大学現役合格件数105件は、本校歴代2位の成果ということです。私立大学も本当に数多く合格していますが、ちょっと視点を変えて、64期生はどんな大学に多く合格しているか、合格件数の多い順に大学を見てみたいと思います。
最も多いのは東洋大学でした。では2番目に合格の多い大学はどこでしょうか。答は明治大学です。以下、日本大学、法政大学、立教大学と続きます。誠に素晴らしいと思います。このあたりが現在の蕨高生のボリュームゾーンということになります。65期生である3年生、66期生である2年生もこの勢いに乗って後に続き、ぜひとも先輩たちの成果を超えてもらいたいと思います。
ところで、今日は年度の始めですので、改めて、皆さんに、この1年間に臨む心構えについて話してみたいと思います。
本校の進路指導は「大学進学の先を見据えて目標は高く」を掲げています。いうまでもなく大学は研究機関です。皆さんは大学で、何を研究したいと考えているでしょうか。
ここ数年、多くの大学は、いわゆる学校推薦型選抜や、総合型選抜の入学定員を増やす傾向にあります。ともに志願理由を詳しく尋ねられますので、定員を増やしているということは、大学で学ぶ目的意識の明確な受験生に多く入学してもらいたいという、大学側のメッセージなのではないかと思います。実際に受け入れてみて、こうした選抜で入学した生徒のほうが、大学での学業成績も芳しいということもあるようです。
ところで皆さんは、現在の時点で、自分が大学で研究したいこと、それを踏まえた志望校、志望学部や学科について、説明することができるでしょうか。
2年生は「まだ先の話」と受け流してはいけません。これは「本気スイッチ」にかかわる話です。難関大学に合格した卒業生の多くは、志望校が決まったあたりから、勉強が「本気モード」に移行したと言っています。
昨年11月の進路講演会では、「蕨高生は難関国公立大学を目指すべき」との話がありました。なぜ難関国公立大学を目指すべきなのか。講演では、①授業が違う ②仲間が違う ③実績が違う との説明がありました。同じ4年間を過ごすのであれば、より自分を磨いてくれる「環境」を厳しく選択する必要があると思います。
私は本校の卒業生でもありますが、改めて、蕨高生はよりよい学びの環境を求めて、難関大学を目指すべきではないかと思います。その際、大切なことは、本気モードのスイッチがオンになることです。繰り返しになりますが、私の場合は高校3年の秋。遅すぎました。皆さんはこうした轍を踏まないよう、まずは大学で研究したいテーマを見つけ、説明できるようにしておくことをお薦めします。
それでは、楽しい1年にしていきましょう。以上で校長講話を終わります。