校長室より

初一念を貫き通す覚悟を(『蕨高新聞』第161号 巻頭言)

 目の前にあるのは昭和58年3月10日(木)発行の『蕨高新聞』第81号。卒業時にもらい、そのまま卒業アルバムに挟んでおいたものだ。茶色に変色しているが、記事は読むことができる。表題は当時の校長のことばである。私を含め、まだまだ多かった進学準備の卒業生に対する温かい励ましの気持ちのこもった一節である。

 改めて64期生の皆さん、卒業おめでとう。表題の「初一念」とは、最初に思い立った一念のこと。私は当時の校長にこのことばをいただいて卒業したが、40年を振り返ってもまったく色褪せない輝きを持っている。よって64期生の皆さんに、敢えて餞としてこのことばを贈りたい。

 私事で恐縮であるが、11月に大学のサークルのOB会に出席した。久しぶりに再会した先輩から「高校の校長か。お前そう言えばずっと『教育』やってるな」と声をかけられた。このサークルは弁論を扱うサークルで、私は1年次からサークル内の「教育問題研究会」に所属していた。先輩はそのことを覚えていた。確かに私は大学を卒業してそのまま教壇に立ったので、一貫して「教育」に携わっていることになるが、そのきっかけは現在本校で「講義室」と呼ばれているB棟1階の旧「2年7組」にあった。ここで多くの仲間や恩師の先生方と教育について熱く語り合ったことが原点となり、現在に至っている。

 64期生の皆さんは、自らの将来を真剣に考え、選んだ進路先に進むことと思う。是非とも「初一念」を貫き通し、グローバルな舞台で活躍していただくことを願っている。