校長室より

終業式 校長講話

 おはようございます。終業式を迎えました。1年間大変お疲れさまでした。今年度の終わりに際し、皆さんの現在の「立ち位置」について、確認してみたいと思います。

 まずは、授業が「わかる」ということについて、皆さんの現状はいかがでしょうか。

 皆さんは「模試」、模擬試験を受けていると思います。本校の場合例年、1年生は、最初のうちは成績がよい傾向にあります。模試の出題範囲には中学校時代の復習も含まれ、高校受験の勉強をしっかりやっていた生徒が多いことも、理由の一つと思われます。しかし、回数を重ねるごとに、よい成績をとることが難しくなってきます。出題範囲に、高校の授業で学ぶ内容が増えてきます。学んだ内容がどれぐらい定着しているか。模試では、可視化されて自分で把握できます。確認してみることが必要です。

 先日の卒業式では、夏目漱石の「自己本位」という考え方を引き合いに、卒業生に餞のことばを贈りました。「自己本位」とは、自分が主、それ以外は従という考え方です。毎日の授業を振り返ってみると、皆さんから見れば、例えば教えている先生が、授業の内容をよく理解している、あるいは、友だちが理解している、そうしたことは、ここでいう「従」ということになります。大切なことは、その授業の内容を、皆さん自身がどこまでわかっているか、理解しているか、そして、授業で学んだことを定着させているか、ということです。実は、模試の結果は、そのことを皆さんに伝えてくれています。

 授業の内容をしっかり理解していることで、模試の成績も向上します。新たな学年になっても引き続き、毎日の授業を理解することに力を入れて欲しいと思います。

 ところで、20日の月曜日には、卒業生による「受験速報会」が行われました。受験を終えたばかりの先輩のアドバイスは大変貴重なものですが、参加した2年生は、熱心にメモを取ったり、積極的に質問したりしていました。会場を回りながら耳を傾けました。

 大学に合格した卒業生の多くが、しっかりとした考えをもって志望校を選定していました。印象的だったのは、2年生のときにオープンキャンパスで大学を訪れ、この大学で学びたいと強く思うようになり、受験勉強に本気で取り組むスイッチが入ったという話です。自分のオリジナルの理由を持っている生徒は強い。そう感じました。

 また、志望校には合格したものの、本音では、もう少し難易度の高い大学で自分の力を試してみたかった、と話す卒業生もいました。昨年11月の2年生対象の進路講演会の「蕨高生は難関国公立大を目指すべき」との話を思い出しました。志望校を選定する際は、その系統の最難関の大学・学部を選ぶことが大事なのではないかと思います。

 春休みは短いです。部活動などで忙しい方も多いと思います。しかし、現在の立ち位置を確認し、向こう1年間の新たな戦略を立てるのもまさに「今」であると思います。

 もう一つ。受験速報会では「英語で苦労した。3年生になった段階で、英語がある程度仕上がっていると精神的に有利。ほかの科目に多くの時間を割くことができる」という話も聞けました。4月といえばGTECです。しっかり準備して、セファールのB1、B2の取得に向け、頑張っていきましょう。また、令和5年度は、3年間中止を余儀なくされた、オーストラリア2週間の海外派遣事業の募集を再開する予定です。一定の費用は掛かりますが、海外体験の大きなチャンスです。ご家族と相談いただき、積極的にチャレンジしていただきたいと思います。

 4月には、皆さんと同じように「Wの挑戦」ということばに共鳴した新入生が入学してきます。皆さんも上級生として「挑戦する蕨高生」を実践していきましょう。

 以上で校長講話を終わります。新学期もよろしくお願いします。