校長室より

海外に行こう(生徒会誌『さわらび』第60号校長のことば)

 目の前に『Sawarabi No.20』と書かれた一冊の白い小冊子がある。1983年3月10日(木)、卒業式の日にいただいた。卒業アルバムとともに保存してあったものだ。

 「生徒会活動の記録」や「クラス紹介」は現在も続いているが、この小冊子には「特別寄稿」として、英語科の教員とオーストラリアに留学した生徒の体験記が掲載されている。在学中にも留学生がいた記憶がある。本校の外国語科の設置は1994年。11年も前から本校は国際理解教育に熱心であったことがうかがえる。

 11月に、3年生の英語の授業を見学する機会を得た。共通テストを念頭に置いた授業であったが、これまで学んだ知識の確認を次々繰り出す教員に対し、多くの生徒が楽しそうに応じていた。まさに、英語の学びを楽しむ雰囲気に満ち溢れていた。こんな授業を受けることができていたら人生変わっていたかも、と思い、3年生を羨ましく思った。

 さて、現在の我らが蕨高校は外国語科を設置しており、普通科の生徒も含め、高いレベルの英語教育を受けることができる。すべての蕨高生は、この高校に在籍しているということに誇りを持ってもらいたい。何はともあれ「英語だけは誰にも負けない」という気概を持つことが重要である。

 コロナ禍もあり、渡航による海外交流事業がなかなかできない中ではあるが、特に卒業する3年生は、海外を目指してほしい。11月9日にフランス語選択者を対象としたハイチ大使館員による授業があったが、何人かの生徒は英語で質疑応答をしており、頼もしいと感じた。様々な国から人が集まるからこそ、英語が武器となり、コミュニケーションを取ることができる。蕨高校で英語を頑張った3年生は、自信を持って次のステップに進んで欲しい。これからの時代は、学部であれ院であれ、海外留学のチャンスが必ずある。お金をためて海外旅行でももちろんいい。社会に出る前に、海外での体験をより多く持つことを強くお薦めする。

 11月11日の日経新聞によると、2021年の米国の平均賃金は7万5000ドル。日本人の平均年間給与は約3万ドルということで、日本の賃金は米国の半分以下ということである。同じ仕事をしても、米国では日本の倍以上の給与を得ることになる。これからの大学生は、就職活動においてもグローバル企業を念頭に置くべきであり、その際、武器になるのは海外経験の有無である。蕨高卒業生の可能性は無限大。皆さんの将来に大いに期待している。

 在校生は、4月にGTECがある。CEFR(セファール)でB1を取れば英検2級相当、B2なら英検準1級相当である。日ごろの英語への取組の成果を確認するチャンスである。今からしっかり準備して臨んでもらいたい。