校長室より

校長室より

次世代のリーダーとして活躍しよう(図書館報『若い樹』校長のことば)

 皆さんは、令和5年夏の甲子園の優勝校を覚えているだろうか。

 神奈川県代表の慶應高校である。

 スタンドを揺らす応援が話題となった。付属校である幼稚舎の児童も応援に駆けつけ、テレビでは「最も若い塾生」と紹介されていた。

 児童、生徒、学生を「塾生」と呼ぶのであれば、「塾長」もいる。

 令和5年1月、日本経済新聞の「リーダーの本棚」欄に、慶應義塾長である伊藤公平氏の愛読書が紹介されていた。タイトルは「職分全うする覚悟を」。全部で8冊紹介されている中で、「戦争はどうやって起こるのか、心の中でずっと気になってきた」というキャプションで取り上げられていたのが『失敗の本質』(野中郁次郎ほか著、中公文庫)。興味が湧き、手にとってみた。

 ところで伊藤塾長は1965年生まれ。私より一つ年下だが同世代である。

 私は昭和39年に生まれている。所謂大東亜戦争が終わったのは昭和20年。戦争が終わって19年後に生まれていることになる。ちなみに昭和39年は、最初の東京オリンピックが開催された年でもある。

 19年。ついこの間である。卒業する65期生の多くは今年19歳になる。2024年から19年前。2005年、平成17年である。

 私の子どものころは「戦争を知らない子どもたち」等の歌がヒットしていて、まさに自分もその一人。もちろん戦争なんて知らないしわからない。そう思ってきた。

 しかし一昨年母校に赴任し、後輩である皆さんの顔を見ているうちに、自分が何か伝えなくてはならないのではないか、そんな風に考えるようになったこともあり、この本を手に取った。

 本書のカバーには「大東亜戦争における諸作戦の失敗を、組織としての日本軍の失敗ととらえ直し、これを現代の組織一般にとっての教訓あるいは反面教師として活用することをねらいとした」と書かれてある。当時の陸軍、海軍ともに「組織」であるから、本文中には「作戦部長」や「作戦課長」などの職名が出てくる。国をはじめ、都道府県や市町村などの自治体、また、民間企業もその多くが、はじめはこうした「組織」の形を参考にして成り立っている。敗戦という日本軍の失敗を「組織」の失敗と捉え、どのようなことに気を付けていけば、同じような失敗を避けることができるのか、共通項を抽出して教訓を得るということが、本書の試みとなっている。

 私は一読して「優秀なリーダーが必要である」ということを感じた。

 本書に出てくる登場人物たちも、はじめから「部長」や「課長」であったわけではない。はじめは誰でも新入社員。一人の担当として社会人生活をスタートさせているはずである。経験を積む中で昇進し、徐々に責任あるポストを任されるようになる。

 私はもちろん教員として社会人生活をスタートさせているが、異動の中で、教育委員会事務局などの自治体職員を経験させてもらったことがある。県や市町村で働かせてもらったが、最初はお互い一担当として一緒に働いた仲間が、時間が経つと課長や部長に昇進している。逆に言うと、「部長」や「課長」も、みんなはじめは隣で一緒に働いていた仲間である。

 こんなことを考えながら本書を読むと、想像がひろがる。「作戦部長」も「作戦課長」も、恐らくその時々で、最善を尽くして情報を集めて案を練り、上席に説明して、直しの指示があれば徹夜で直し、仕事をしてきたはずである。それなのに、である。

 本書の示唆のとおり、日本軍という組織と、現代の日本の様々な組織に、今なお共通する課題があるとすれば、少なくとも意識的でありたいと思う。この本を薦めてくれた伊藤塾長も同世代。思うところがあったのではないかと拝察する。今回は「愛読書」ということであるので、塾生に薦めるというよりは、塾長に就任し、塾長としての職分を全うしたいという思いを込めて紹介されているのだと思う。

 65期生は、これからさらに進学して、ゆくゆくはさまざまな「組織」に所属し、その将来を担っていくことになると思う。本校は「目指す学校像」で「グローバルな視野を持ち次世代のリーダーとして活躍できる人を育てる」ことを謳っている。

 改めて、これからの日本には、優秀なリーダーが必要なのである。ぜひこの本を手に取って、よりよい社会を築いていただきたいと思う。昨年夏の時点で本校の図書館にはなかったのでリクエストしておいた。難解な本ではあるが、興味を持った66期・67期生も、機会があれば手に取ってもらいたい。

 最後に、伊藤塾長は本書の紹介で「できれば戦争に向かうことを止めたい、日本を外交で守りたいですね」と述べている。外国語科を設置している本校は、普通科の生徒も含め、英語が得意である。グローバルな場面におけるタフなネゴシエーションを可能にする英語4技能の習熟は、日本の、世界の平和につながっている。グローバルな社会で蕨高生が活躍する未来は、すぐそこまで来ているのである。

第4回学校説明会 校長あいさつ

 皆さんこんにちは。校長の山本でございます。明後日から県内私学の入試が始まると伺っておりますが、本日はご来校くださいましてありがとうございます。

 さて、本校は、創立68年目を迎える男女共学の進学校でございます。普通科と外国語科を設置しております。蕨市の北端にあり、さいたま市や川口市と市境を接するところに立地しております。蕨、南浦和、北戸田の各駅からそれぞれ徒歩20分程度となっており、県内の幅広い地域から通学可能となっております。

 進路の状況でございますが、昨年春の実績では、国公立大学の現役合格件数は105件となっております。私は本校24期の卒業生ですが、私の同期は24件でした。その後も30件前後が続いてきましたが、創立50周年のあたりから40件を超え始め、創立60周年を経て80件を超え、令和に入って100件を超えるようになりました。

 2学期制のもと土曜授業を導入し、昨年度から65分授業を50分授業に改めるなど、授業時数の確保に努めております。また、これからの、自ら考えて課題を設定し、他者と協働して課題の解決に取り組むことが求められる時代にあっては、文系であっても理系の知識が、理系にあっても文系の知識が必要となることから、本校の教育課程は2年生まで共通のカリキュラムとなっております。

 本校の校風を表すことばとしては、「文武両道」「Wの挑戦」「グローバルな視点を持った次世代のリーダーの育成」などが挙げられます。昨年春の105名の国公立大学現役合格者のうち、約8割の84名が引退まで部活動を続けています。中高一貫校では6年かけて準備する大学進学を3年間で行っていくため、本校では「文武両道」に取り組むことで、セルフマネジメントの力を高めています。「Wの挑戦」は「行ける大学」ではなく「行きたい大学」を志願する校風を育んでいます。そして「グローバルな視点」です。外国語科の生徒が当たり前のように英語を話すことから、普通科の生徒も大いに刺激を受け、英語科の教員の指導も相まって、英語に対する学びのモチベーションが高くなっています。留学生の受け入れも積極的に行っており、昨年度はオーストリア、タイ、フランスから受け入れました。いずれも母国語のほかに英語が堪能で、生徒は大いに影響を受けています。ALTは2名常駐し、出身国はフィリピンとアフリカのジンバブエです。そのほか、チュニジア大使による授業やオンラインを通した中国やインドネシアとの交流など、日常的にグローバルな視点が身に付く環境が整っております。

 ところで、年末の日本経済新聞に、自動車メーカーであるホンダの三部敏宏社長のインタビューが掲載されていました。ライバルである中国に触れ、「中国は世界のそうそうたる大学を出た優秀な人たちがものすごい勢いで働き、どんどん進化していく」と話していました。日本も負けてはいられません。本日ここにお集まりの皆さんも、将来は「そうそうたる大学」を出て、「優秀な人」になる必要がある人ばかりなのではないかと思います。本校の「目指す学校像」は、「生徒の進路希望を実現する文武両道の進学校」です。ぜひ、大きな夢を抱えて、本校の門を叩いてください。一緒に頑張りましょう。

 それではこの後、本校の概要や進路指導、外国語科や入試の説明が続きます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。 

12月全校集会 校長講話

 皆さんこんにちは。12月の全校集会を迎えました。後期はまだ折り返しですが、修学旅行や強歩大会、3年生の球技大会や外国語科の英語劇発表大会、また各部活動の新人大会など、大変充実した3か月だったのではないかと思います。そして、3年生はいよいよ受験本番を迎えます。現役生はここから、1月、2月、そして3月と、成績が急激に伸びてきます。これまで蕨高校で学んできたことを信じて、健康に留意して、さらに頑張っていただきたいと思います。

 さて、今日は、これから冬休みを迎える皆さんへの激励の気持ちを込めて、10月28日に1年生対象に行われた社会人講演会の中で、皆さんに伝えたいと思った内容を3点に絞ってお話します。講師は、本校32期の卒業生である高山範理さんです。高山さんは東京大学大学院を経て、現在は国立の研究機関である森林総合研究所で研究職を務めています。「森林浴」研究の第一人者としてご活躍ですが、当日は「学び続ける楽しさ:知識の探求と社会貢献」と題してご講演いただきました。1年生は思い返していただきたいと思います。

 1点目は、「目標を持つと人生が変わる」ということです。

 蕨高校ではなかなか勉強に身が入らなかったと謙遜していらっしゃいましたが、高校3年の10月に、よく遊びに行っていた台東区根岸の祖母の家のそばにあった東京大学に出掛け、大学の講義を聞いて衝撃を受けたそうです。「東京大学に行きたい」という思いが募って勉強を始め、浪人や他の国立大学を経て東京大学の大学院に進学され、博士号を取得し、現在の職を得るに至ります。高山さんは後輩である蕨高生に対して、「目標を持つと人生が変わる。目標を持て」ということを強調されていました。

 2点目は、「海外に出て、日本との違いに気付くことが重要」ということです。

 高山さんは大学入学後、一年間イギリスに留学します。そこで、日本では何かを勝ち取る、例えばよい大学に行くために競争して頑張っているが、イギリスでは自分がハッピーになるために勉強する。大学の合格は手段でしかない、ということに気付きます。また、自然環境への考え方の違いに触れることで、現在の「森林浴」研究につながるモチーフを得ることになります。高山さんは、とにかく英語は便利。情報の入り方が変わる。蕨高生にはとにかく英語を勉強することをお勧めするとおっしゃっています。

 3点目は、『ドラゴン桜』の「本質を見抜き、自分なりの答えを出す力をつけろ」は本当だ、ということです。

 高山さんは『ドラゴン桜』の桜木先生のセリフの中で、「勉強はこの国で許された唯一の平等」を取り上げ、これは「手段」とし、その後「本質を見抜き、自分なりの答えを出す力をつけろ」が「目的」だと指摘しています。そして、「答えを出す力」は「知識」と「考える力」の掛け算であるが、「考える力」は奥が深い。さらに、「考える」だけでなく、ちゃんと行動することが重要、と指摘しています。

 以上、高山さんの講演の中で、私が皆さんに伝えたいと感じた3点をお話ししました。いよいよ冬休みです。高山さんの指摘にもありましたが、冬休みは物事を深く考える、また、考えるだけでなく行動に移す絶好の機会でもあります。くれぐれも健康に気を付けて、充実した冬休みを過ごしてください。年明けの最初は土曜授業。1月6日です。お互いに元気な顔で再会しましょう。以上で校長講話を終わります。

バトン部 全国大会壮行会 校長より激励

 ただ今紹介がありましたが、バトン部の皆さんは、11月28日(火)に所沢市民体育館で行われた令和五年度ダンスドリル秋季競技大会関東大会のSONG/POM部⾨ Large編成で1位となり、来年1月14日(日)に、東京都の武蔵野の森総合スポーツプラザで行われるDance Drill Winter Cup 2024・第十五回全国高等学校ダンスドリル冬季大会に出場されるということです。

 まずは、全国大会への出場おめでとうございます。

 本校はLarge編成ということで、2年生10名、1年生17名のあわせて27名の選手の皆さんが出場されるということです。この競技は、一人ひとりの技術もさることながら、全員で心を合わせた演技が求められるだけに、どの選手にもやりがいのある競技なのではないかと思います。当日の試合では、最も華やかで、最も迫力のあるステージとなるよう期待しています。日ごろの練習の成果をいかんなく発揮して、全国大会でもぜひ頑張ってください。応援しています。

32期ホームカミングデー 来賓あいさつ(校長)

 皆さんこんにちは。校長の山本でございます。本日はようこそ、皆さんの母校、蕨高校にお越しくださいました。皆さんを歓迎いたします。

 また、恩師の皆様におかれましては、お忙しい中ご出席を賜りありがとうございます。

 本日は32期の皆さんのホームカミングデーということですので、少し調べてまいりました。皆さんの本校ご入学は1988年、昭和63年と伺っております。この年は、本校にとりましても大変重要な節目の年でございます。まず3月にさわらび会館、部室・卓球場、テニスコートが竣工しました。これは皆さんのご入学前のことでございます。そして5月に創立30周年記念式典が行われ、12月には清流館、食堂の建物ですね、が竣工しています。私事で恐縮ですが、24期生の私が教育実習のため本校にお世話になったのがその前年、1987年、昭和62年でございます。昭和から平成への改元も含めて、32期の皆さんは、本校30周年の一区切りを経て、本校のその後の栄華を極めていく歴史の、まさに第一歩を踏み出された学年、ということになろうかと思います。

 さて、ここでは我らが母校、蕨高校の近況をお伝えするのが私の役割かと存じますが、まずは、10月28日に行われた1年生対象の進路行事「社会人講演会」に触れさせていただきたいと思います。今年は、本校32期の卒業生でいらっしゃる高山範理様に「学び続ける楽しさ:知識の探求と社会貢献」と題してご講演をいただきました。本校でのエピソードから始まり、波乱万丈のご経験をお話しいただいた後、現在のご専門である「森林浴」のすばらしさについて語っていただきました。生憎当日はインフルエンザによる学年閉鎖中でございましたが、オンラインで視聴した生徒はもとより、会場で聴いていた同窓会の皆様や、我々教職員も思わず引き込まれ、講演時間があっという間に過ぎる素晴らしい内容でございました。改めて高山様、ありがとうございました。

 高山様のご講演を伺って、改めて、蕨高生の高校卒業後の多様な進路について、思いを馳せたところでございます。生徒には「大学進学の先を見すえて目標は高く!」とはっぱをかけておりますが、私も含め、人生がストレートにうまくいっているということは、ひょっとするとあまりないのかなと考えております。波乱万丈、紆余曲折、本当に多くの人々の助けを借りながら、現在までようやく辿り着いている、というところにつきましては、皆さんのご賛同も得られるところではないかと思います。

 一つ関連して、本校創立20周年記念誌のエピソードをご紹介いたします。昭和52年発刊とのことです。巻頭言で当時の第8代校長、梶原先生は次のように述べています。

 校章にはワラビの葉三枚が正三角形についている。美しい花を咲かすでもない、ごくありふれた雑草。踏みにじられ顧みられなくても、根強く生き続けるワラビ。胞子を飛ばし、どこに落ちても発芽するワラビ。私はこの生命力を皆さんの前途に託したい。

 そしてこう続けています。「萌えいづる ものみな強し 自立の気風 うけつぎて 蕨高校 永遠に栄えあり」

 私たち同窓生は、実は、母校にこの「生命力」の強さを育んでもらったおかげで、本日こうしてお互いに集うことができているのかもしれません。蕨高校を卒業して本当によかった、との思いを新たにしていただければ幸いです。以上であいさつを終わります。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

PTA・後援会第3回役員会 校長あいさつ

 皆さんこんにちは。校長の山本でございます。本日は、今年度のPTA・後援会第3回役員会ということで大変お世話になります。よろしくお願いいたします。

 さて、11月10日(金)の強歩大会では、給水支援など大変お世話になりました。生憎の荒天のため、生徒は男女とも1周減らす形となりました。女子は若干、雨の中の実施となりましたが、おかげさまで大きな事故もなく終えることができました。皆様のご協力に改めて感謝申し上げたいと思います。ありがとうございました。

 また、先月20日(金)から23日(月)にかけまして、2学年の修学旅行で沖縄に行ってまいりました。ガマや資料館を訪問する平和学習の後、マリン体験など体験学習もございましたが、こちらは晴天に恵まれ、どのコースも学習の成果を上げることができました。特に2学年は、昨年の林間学校が雨天で大変厳しい環境下での実施でしたので、天候に恵まれ、よかったのではないかと思います。

 1学年では、10月28日(土)に進路行事である社会人講演会が、学年閉鎖の中、オンラインで行われました。例年卒業生に講師をお願いしておりますが、今年は本校32期の卒業生で、国立森林研究所の高山範理氏が講演を行いました。高山氏は東京大学大学院を卒業され、現在は森林浴研究の第一人者として活躍されています。蕨高時代の経験談をはじめ、ユーモアあふれる語り口で、多くの生徒に感銘を与えてくださいました。

 さらに、生徒募集につきましては、先日新聞発表のあった中学生の志願状況調査で、本校は普通科1.92倍、外国語科1.00倍でございました。特に外国語科を中心に、引き続き本校の魅力の発信に努めてまいりたいと思います。

 その外国語科ですが、第二外国語でフランス語を選択している2年生が、今月18日、東京・飯田橋の東京日仏学院で行われた第18回東日本高校生フランス語スケッチコンクールに出場し、参加13校21組中、第8位に相当する「奨励賞」を受賞しました。二人一組で、4つの課題スケッチから選択したシチュエーションをフランス語で演じるものですが、何しろフランス語です。流暢に操る生徒を見て、頼もしいと感じました。

 最後に、10月から11月にかけまして、校長として授業を見学しておりますが、本校の授業で特徴的なのが「対話を取り入れた授業」です。隣同士で自分の考えを伝え合ったり、音読してお互いにチェックしあったりという活動が頻繁に行われています。「説明できる」ためには理解が必要です。発信することで、自分の理解を深めるという効果が期待できます。ご家庭におかれましても、授業の様子を話題にして、お子様に説明を求めていただくと、より効果的なのではないかと思います。

 いよいよ1月は共通テストです。校長としては、朝型、朝の時間を活用して勉強するよう話しています。お子様が早く寝てしまうなど、ご家族とスケジュールが合わなくなることも想定されます。ご家庭におかれましては引き続き、体調管理など、ご支援をお願いいたします。私からは以上です。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

第3回学校説明会 校長あいさつ

 皆さんこんにちは。校長の山本でございます。

 いよいよ11月も下旬となり、中学校では進路を決める三者面談の時期を迎えていることかと思います。本校にご関心を寄せていただき、ご来校いただいたことに感謝申し上げます。

 さて、中学生の皆さんは、志望校の「決め手」を探していらっしゃるのではないかと思います。本日はこの後、教頭による学校紹介、生徒による普通科、外国語科それぞれの紹介、進路指導主事による進路指導の説明、外国語科主任による外国語科の説明と続きます。皆さんに本校を選んでいただける「決め手」が必ず見つかることと思います。よろしくお願いいたします。

 ところで先日、本校で勤務経験のある職員と話をしていた中で、さいたま市や川口市などの県南部であれば、校舎がきれいだったり、制服がおしゃれだったりする高校はたくさんある。自分の子どもを進学させる場合、どんな高校がよいかという話になりました。その職員が言うには「私は子どもに蕨高校を勧めたい。なぜなら、私は蕨高校の中を知っているから」とのことでした。

 その場はそれで終わったのですが、しばらくして「蕨高校の中を知っている」という言い回しが気になりました。

 今、たまたま手元にありますが、フランスの作家、サン=テグジュベリの書いた『星の王子さま』という本があります。「いちばんたいせつなことは、目に見えない」というメッセージをご存じの方も多いと思います。私は「中を知っている」という職員のことばから、このメッセージを連想しました。ひょっとすると、普段なかなか外からは見えない蕨高校の「中」が、仮にわかるとするなら、皆さんにもご関心があるのではないか。そう思いましたので、私の考える本校の「中」についてお話ししたいと思います。

 目には見えないものなので、もちろん説明することは難しいのですが、一言でいうと「環境」ということではないかと思います。「伝統」ということかもしれません。

 本校を受験し、合格した皆さんは、この蕨高校という「環境」の中で、人生に一度しかない3年間を過ごすことになります。このことに関連して、元サッカー日本代表の本田圭佑氏は「環境にこだわれ」と言っています。頑張っても成果が出せない人は「環境」にこだわっていない。「環境」にこだわらない状況で頑張っている。夢をかなえるプロセスで一番大事なのは「環境」にこだわること。こんな内容です。高校選択にも通じるものがあると思います。同じ「頑張る」のであれば、環境にこだわって、よりよい環境を選んで頑張ることで、夢の実現に近づく、ということではないかと思います。

 蕨高校は「目指す学校像」を「生徒の進路希望を実現する文武両道の進学校」としております。キーワードは「Wの挑戦」です。蕨高校を目指す中学生は、高校卒業後に実現すべき進路希望を持ち、その進路希望を「Wの挑戦」、文武両道で、勉強と部活動を両立させながら実現するという、強い決意をもって入学してきます。本当に現在の蕨高生は、勉強にも、部活動にも、学校行事にも手を抜きません。

 また、高校の3年間で生徒を育てているのは、本校の教職員です。私は毎年授業を見ていますが、本校の教職員の指導力には確かなものがあります。本校の教職員による質の高い授業に生徒が信頼を寄せる、そうした年月の積み重ねが、本校が皆さんに提供する「環境」の礎となっています。

 先ほどの職員との話に戻りますと、蕨高校であれば、目的意識の高い生徒、質の高い授業という日常の中で、自然と学びに目が向き、生活習慣も整ってくる、こんな「環境」はどの高校にもあるものではない。まさに「いちばんたいせつなことは、目に見えない」わけですが、少しでも皆様とイメージを共有させていただければ幸いです。

 以上、私の考える蕨高校の「中」についてお話させていただきました。それではこの後、本校の魅力の数々について説明させていただきます。皆様にとって、本日の説明会から、高校選択の「決め手」を見つけていただくことを強くお願いし、あいさつとさせていただきます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

第2学年 11月学年通信 校長より

 修学旅行お疲れさまでした。それぞれの進路希望の実現に向け、本格的に取組を始める方も多いのではないかと思います。激励の気持ちを込めて、2点お話しします。

 1点目は授業の受け方についてです。例えば古文や英語で、ノートに本文のコピーを貼っている人がいます。ここまではよいですが、ここから二つに分かれます。一つは、品詞分解や単語の意味などを予め書き込んで、予習して授業を受けている生徒。もう一つは、授業を受けながら、その本文に初めて書き込んでいる生徒です。この二つは、似ているようで全く異なります。前者は授業を受ける前に、主体的に教材と向き合っていますが、後者は授業を「受けて」学んでいます。姿勢が受身なのです。

 24期生の私は浪人を経験していますが、現役のころは100%後者でした。大学受験は全敗。浪人して、学びのスタイルを前者に変えて合格しました。

 ポイントは、授業に対する「構え方」を変えるということです。前者を実行するには、勉強時間の捻出が必要となります。私の場合は朝。5時に起床するために22時に就寝する。このライフスタイルを実践できるかどうかが鍵です。受身のスタイルをやめ、本気で主体的な学びのスタイルを実践することをお薦めします。

 2点目は、志望校の考え方についてです。王道は、自分の就きたい職業について真剣に考えて志望校を決めることだと思います。

 来年は令和6年。現役合格なら皆さんの就活開始は大学3年生の令和9年。インターンシップもあります。「大学進学の先を見すえて」といいますが、仮に企業に就職するとして、志望企業の絞り込みの期限は案外近くに迫っています。皆さんが働いてみたい企業をイメージしてみましょう。有名な企業が多く挙がるのではないでしょうか。これからの時代は、一つの会社で定年まで勤め上げるのは稀だと言われています。とはいえ、最初の会社は重要です。一定のスキルを身に付けることができる会社なのか、見極めが必要となります。ある程度企業名が思い浮かんだら、どんな大学の出身者が多く入社しているのか調べてみてください。

 以前も話しましたが、私の高校時代の志望は弁護士。司法試験に多く合格者を出している大学が難関大学に限られていることを知り志望校を変えました。私大文系だったので、早稲田か慶應、中央大学などの法学部に合格しなければ将来は開けないと、一途に思い込んでいました。その後の模試の第一志望はすべて早稲田大学。そのおかげで一年間、授業も模試のレベルも、早稲田大学を標準として取り組みました。結果として、自然と「早稲田のレベルが当たり前」という環境に体が馴染んでいたことになりました。

 さて、2年生の皆さんです。私と一緒に令和4年に蕨高校に来た皆さんには、是非ともそれぞれの進路希望を実現してもらいたいと強く願っています。今は11月。まだまだ共通テストまで1年以上もあります。難関大学を目指す上で最も重要なのは、一度学びのレベルを下げてしまうと、上げるには相当のエネルギーが必要になるということです。修学旅行が終わり、本格的な受験準備に入る今、志望校を可能な限り高く設定し、その環境に体を馴染ませておくことを強くお勧めします。

 教職員一同、皆さんを応援しています。一緒に頑張りましょう。

第64回 強歩大会 校長あいさつ

 おはようございます。

 強歩大会の当日を迎えました。天候が心配されますが、雨が降る前にしっかり走って、ゴールまで駆け抜けたいと思います。

 この強歩大会は、本校の伝統行事です。体を鍛えるとともに、心を鍛える。どんな困難にも負けない強い精神力を育むことを目的としています。

 また、お互いのゼッケンに書かれてあるように、本校の強歩大会は「競う」のではなく、「強く」と書いて「強歩」としています。誰かと競争することが目的ではありません。ライバルは自分です。自分に勝つことが重要です。それぞれ、自己ベストを目指して頑張ってください。

 さらに、体調管理が重要です。水分補給をお願いします。また、コースの途中でおかしいなと思うことがあったら、近くにいる先生方に教えてください。

 それでは、みんなで協力して、強歩大会を成功させましょう。

 頑張りましょう。

第2学年 学年集会 校長より

 2年生の皆さん、修学旅行お疲れさまでした。本日は修学旅行の振り返りを行うということですので、引率団の団長として、一言感想を述べさせていただきます。

 まずは、皆さんの日ごろの行いが功を奏し、日程のすべてにおいて、天候には大変恵まれました。

 初日の平和学習をはじめ、2日目、3日目の様々な体験活動、そして最終日の自由行動と、皆さん一人ひとりの思い出に残る素晴らしい修学旅行になったのではないかと思います。

 特に初日の平和学習では、ひめゆり平和資料館や平和祈念資料館において、メモを片手に熱心に資料を読む皆さんの姿が印象的でした。バスガイドの方からも「こんなに熱心に資料を読んでくれる高校生は珍しい。感動した」とお褒めのことばをいただきました。

 折しも世界に目を向けますと、皆さんもご存じのとおり、様々な場所で、実際に戦争が起きています。75年前に実際に地上戦が行われた沖縄で、戦争について、平和について改めて、自分のこととして考える機会を得たことは、大変重要なことではないかと思います。

 修学旅行を終えた皆さんは、いよいよ、自らの進路実現について、真剣に向き合うことと思います。「大学進学の先を見すえて目標は高く」と言いますが、大学や学部を考える前に、まずは皆さん一人ひとりが、どうすれば平和な世の中を持続していけるかを、改めて、自分のこととして考えていただきたいと思います。皆さんが設定する皆さん自身のミッション、使命の立て方によって、自然と皆さんが志望すべき大学・学部も絞られてくるのではないかと思います。今回の沖縄修学旅行の経験を、ぜひとも、皆さんの進路実現に活かしていただきたいと思います。

 頑張りましょう。