校長室より

校長室より

外国語科対面式 校長あいさつ

 皆さんこんにちは。外国語科の対面式にあたり、日本語であいさつを申し上げます。

 本校の外国語科は平成6年に設置され、今年で29年目を迎えます。1年生の皆さんは、外国語科29期生ということになります。

 最初に、外国語科を設置した目的について確認しておきたいと思います。

 21世紀はますます国際的に物事が進む時代となることが予想され、国境を越えて展開される活動によって世界はますます狭くなりつつあるが、国際摩擦は経済問題にとどまらず、法律や文化の領域まで広がっている。

 問題解決に欠くことのできない豊かな外国語のコミュニケーション能力や異文化に対する深い理解を有した上で、

・ 貿易立国である日本の国際経済をリードできる人、

・ 環境問題、文化摩擦など国際化に伴って生じる様々な問題を複眼的視野に立って検討し、総合的視点から望ましい政策を打ち出せる人や

・ 語学教育を含め、国際人を育成できる指導者

などの人材が求められている。

 蕨高校外国語科は、このような時代の要請に応えることを目的とする。

 平成6年の設置当時と比べ、社会のグローバル化はますます進展しており、本当の意味で国際社会の場でコミュニケーションができる人材の必要性はますます高まっています。こうした時代の要請を考えたとき、外国語科の皆さんの未来は大変明るいと思います。なぜなら、将来、皆さんがどんな職業を選択したとしても、冠として「英語ができる」と付くからです。「英語ができる」という特色は人材としての希少性、レアの度合いを高めることになり、皆さんの未来は大変明るいということになります。

 スピーチコンテスト、英語劇、ディベート、イングリッシュキャンプなど、皆さんの英語4技能を高める仕掛けが、本校の外国語科にはたくさんあります。一方で、本校は普通科の生徒も英語科の先生方のご指導のもと、日々英語力を高めています。こうしたライバルの存在も励みとして、国際社会で真に使えるコミュニケーション力を身に付けてほしいと思います。

 最後に、いよいよ3年ぶりに、オーストラリア2週間の国際交流事業の募集が始まります。一定の費用はかかりますが、日ごろの成果を現地で試す絶好の機会です。多くの皆さんのエントリーをお待ちしております。それでは楽しい1年間にしていきましょう。以上で校長あいさつを終わります。

新入生歓迎会 校長あいさつ

 皆さんこんにちは。校長の山本です。だいぶ暖かくなってきました。「新入生歓迎会」の挨拶をということで、生徒会の役員から依頼を受けました。1年生の皆さんが先輩から「歓迎」される立場というのは、ひょっとすると今日が最後かもしれません。明日からは蕨高校の立派な「担い手」としてかかわっていただきます。最後の「歓迎会」を、大いに楽しんでいただきたいと思います。

 さて、この後先輩方から、部活動や同好会の紹介があると思います。本校は「文武両道」ですから、1年生の皆さんも、本日の部活動紹介を参考に、ぜひとも、気に入った部活動に参加してみてください。

 ところで私は本校24期の卒業生ですが、高校では男子バスケットボール部に所属していました。3年間、引退まで継続しましたが、部活動と学業の両立ができず、学校の成績を大いに落とした経験があります。今振り返って思うことは、本当の意味での「文武両道」ということを考えていなかったのではないかということです。本校は文武両道。部活動や学校行事を思いっきり楽しむためには、基礎学力の充実が何より重要です。基礎学力が充実してこその楽しい部活動です。そして、勉強を軌道に乗せるためには、生活習慣の確立が重要です。先日の入学式で話した通りです。自分が蕨高生のときは、この点がすっぽり抜けていました。

 1年生の皆さんには、せっかくの高校生活ですから、部活動を思いきり楽しんでもらいたいと思います。そして、生活習慣を整えて、毎日の勉強をしっかり頑張るという、本当の意味での「文武両道」を実践してほしいと願っています。それでは、楽しんでいきましょう。以上で校長あいさつを終わります。

対面式 校長あいさつ

 皆さんこんにちは。今日は対面式ということで、今年度初めての生徒会行事ということになります。

 まずは1年生、67期生の入学を、みんなでお祝いしたいと思います。ご入学おめでとうございます。皆さんを歓迎します。

 さて、2、3年生の皆さんには、3月の終業式で「Wの挑戦」ということばに触れて、「挑戦する蕨高生」を実践しようというお話をしました。先週の入学式では、新入生代表が誓いのことばのなかで「Wの挑戦」に触れ、「夢の実現に向けて努力を怠らず、自ら考え行動し、自立した高校生になろうと思います」と決意を述べてくれました。とてもしっかりした、立派な誓いのことばでありました。67期生は優秀だ、ただ者ではない、そんな印象を持ちました。

 今ここにいる皆さんは、「Wの挑戦」という、ひとつの旗印のもとに集まっているということになります。見てください。これだけの人数です。これはすごいことです。これだけの数の生徒が一致団結、協力すれば、どんなことでもできるのではないか。そんなワクワクした気持ちになります。

 今日は対面式。皆さんは出会ってしまいました。部活動や委員会活動、様々な生徒会行事がありますが、是非とも、お互いに高めあって、蕨高校の新しい歴史をつくっていただきたいと思います。以上で校長あいさつを終わります。

第67回入学式 式辞

 華やかな桜の花をはじめ、たくさんの花が咲き誇り、樹木の緑が芽吹き、すべて生命あるものが生き生きと躍動を始めるこの佳き日に、ご来賓、保護者の皆様のご臨席のもと、埼玉県立蕨高等学校 第67回入学式を挙行できますことに、改めてお礼と感謝を申し上げたいと存じます。

 ただ今、360名に対しまして、入学を許可いたしました。新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。

 本校は、創立67年目を迎える歴史と伝統を誇る高校です。目指す学校像として「生徒の進路希望を実現する文武両道の進学校~グローバルな視点を持ち次世代のリーダーとして活躍できる人を育てる~」を掲げ、普通科・外国語科ともに高度な授業、充実した進学補習、きめの細かい進路指導を貫き、生徒一人ひとりの学力向上と進路希望の実現に向けた取組を積極的に推進しております。

 さて、新入生の皆さんは、今日から本校で3年間の高校生活が始まりますが、高校時代は皆さん一人ひとりの人生の土台をつくるという点で、大きな意味を持っています。実は、私は本校24期の卒業生です。ご縁があり、昨年度、母校である本校に着任しました。皆さんの新たな高校生活のスタートにあたり、本校を卒業した先輩という立場も踏まえ、私は三つの心がけを、皆さんにお話したいと思います。

 一つ目は「自分の志を立てる」ということです。

 高校の3年間で、将来自分は何を学ぶのか、どのような職業に就くのか、また、どのように生きていくのかを徹底的に考えて、進路先を決めるということです。人は誰しも、社会で果たすべき使命、役割があるといいます。とりわけ重要なのは職業です。この高校時代においては、単に大学・学部を選ぶだけでなく、大学卒業後の先にある職業についても十分に考える必要があります。どんな職業を志すか、どんな生き方を志すか、たった一度の人生を賭けて何を実現したいのかといったことを徹底的に考え、人生を構想するのです。その思いは、結果として変わっていくかもしれませんが、高校時代に真剣に考え抜いていくかどうかが、その後の人生を価値あるものにしていくかの鍵を握っていると思います。

 二つ目は「リーダーたるにふさわしい資質・能力を身に付ける」ということです。

 皆さんが生きていくのはグローバル社会です。人、モノ、金、情報が瞬時に世界中でつながっていく社会の中で生きていくことになります。国籍や価値観も異なる多様な人々とチームを組んで、人々のよさを引き出し、それらを束ね、成果へとつなげていくことが求められます。英語の4技能を駆使し、グローバル・リーダーとしてチームで協働しながら新たな知を創造していく能力が求められるのです。クリエイティブなものを創り上げていく前提となるものは、教養だと考えます。幅広い教養の土台の上に高度な専門性を積み重ねた延長上に、新たな知を生み出していく手掛かりがあるのだと考えます。本校では、様々な科目を幅広く学びます。どの科目も知性と感性・健全な心身を育むために欠かせないものです。まず何よりも本校での授業を大切にして、確かな思考力を身に付けてください。

 また、学習を軸としながらも、行事や部活動などに全力で取り組み、汗や涙を流しながら、熱い3年間を過ごしてほしいのです。そうすれば、自ずと進路実現についても、仲間や先生とともに最後まであきらめることなく挑戦し、頂上へたどり着くことができるはずです。

 三つ目は「蕨高生としてのスタイルを身につける」ということです。

 「Wの挑戦」という本校の合言葉を聞いたことがあると思います。蕨高生は夢の実現に向け挑戦する中で、困難に負けない強い精神力と、困難を切り抜ける柔軟な発想や思考力を身につけていきます。キーワードは「文武両道」です。蕨高生は代々、学習、部活動、学校行事に全力で取り組んでいます。とはいえ、この文武両道、「言うは易く、行うは難し」という側面も持ち合わせています。皆さんは自らの進路希望を、高校の3年間という短い時間で実現しなければならないというミッションを抱えています。多くの生徒が、学校の授業のほかに、家庭学習の時間を確保するという課題に直面します。何よりも大切なことは、自らの一日の生活のリズムを整えるということです。昔から「早寝早起き」と言います。健康は何よりも大切です。例えば、朝5時に起床して、夜は22時には就寝するなど、自分に合った生活のリズムを確立することを通して、蕨高生としてのスタイルを身につけてほしいと思います。

 保護者の皆様におかれましては、お子様の御入学、誠におめでとうございます。9年間の義務教育を終えられて、希望と期待に胸を膨らませ、高校生としての第一歩を踏み出すお子様の姿を目の当たりにされ、感慨もひとしおのこととお喜び申し上げます。これから3年間、私ども教職員一同、保護者の皆様と手を携えて、お子様の成長を支えて参りたいと存じます。ぜひ本校の教育方針を十分ご理解いただき、ご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

 それでは、3年後の卒業式の際、ここにいるすべての生徒・保護者の皆様が「蕨高校にきて本当によかった」と思えることを心から願い、式辞といたします。 

 令和5年4月7日 

埼玉県立蕨高等学校長 山本 康義 

前期始業式 校長講話

 おはようございます。新しい年度がスタートしました。春休みはいかがだったでしょうか。充実して過ごすことができた方も多かったのではないかと思います。

 この春休みに、バトン部の全国大会と音楽部の定期演奏会に足を運びました。ともに日ごろの練習の成果を発揮した、素晴らしいアウトプット、表現であると感じました。音楽部は美しく迫力のある歌声に圧倒されました。バトン部は全国3位ということで、素晴らしい成果を挙げたと思います。おめでとうございます。

 さて、素晴らしい成果と言えば、この春卒業した64期生も、素晴らしい進路実績を残してくれました。国公立大学現役合格件数105件は、本校歴代2位の成果ということです。私立大学も本当に数多く合格していますが、ちょっと視点を変えて、64期生はどんな大学に多く合格しているか、合格件数の多い順に大学を見てみたいと思います。

 最も多いのは東洋大学でした。では2番目に合格の多い大学はどこでしょうか。答は明治大学です。以下、日本大学、法政大学、立教大学と続きます。誠に素晴らしいと思います。このあたりが現在の蕨高生のボリュームゾーンということになります。65期生である3年生、66期生である2年生もこの勢いに乗って後に続き、ぜひとも先輩たちの成果を超えてもらいたいと思います。

 ところで、今日は年度の始めですので、改めて、皆さんに、この1年間に臨む心構えについて話してみたいと思います。

 本校の進路指導は「大学進学の先を見据えて目標は高く」を掲げています。いうまでもなく大学は研究機関です。皆さんは大学で、何を研究したいと考えているでしょうか。

 ここ数年、多くの大学は、いわゆる学校推薦型選抜や、総合型選抜の入学定員を増やす傾向にあります。ともに志願理由を詳しく尋ねられますので、定員を増やしているということは、大学で学ぶ目的意識の明確な受験生に多く入学してもらいたいという、大学側のメッセージなのではないかと思います。実際に受け入れてみて、こうした選抜で入学した生徒のほうが、大学での学業成績も芳しいということもあるようです。

 ところで皆さんは、現在の時点で、自分が大学で研究したいこと、それを踏まえた志望校、志望学部や学科について、説明することができるでしょうか。

 2年生は「まだ先の話」と受け流してはいけません。これは「本気スイッチ」にかかわる話です。難関大学に合格した卒業生の多くは、志望校が決まったあたりから、勉強が「本気モード」に移行したと言っています。

 昨年11月の進路講演会では、「蕨高生は難関国公立大学を目指すべき」との話がありました。なぜ難関国公立大学を目指すべきなのか。講演では、①授業が違う ②仲間が違う ③実績が違う との説明がありました。同じ4年間を過ごすのであれば、より自分を磨いてくれる「環境」を厳しく選択する必要があると思います。

 私は本校の卒業生でもありますが、改めて、蕨高生はよりよい学びの環境を求めて、難関大学を目指すべきではないかと思います。その際、大切なことは、本気モードのスイッチがオンになることです。繰り返しになりますが、私の場合は高校3年の秋。遅すぎました。皆さんはこうした轍を踏まないよう、まずは大学で研究したいテーマを見つけ、説明できるようにしておくことをお薦めします。

 それでは、楽しい1年にしていきましょう。以上で校長講話を終わります。

終業式 校長講話

 おはようございます。終業式を迎えました。1年間大変お疲れさまでした。今年度の終わりに際し、皆さんの現在の「立ち位置」について、確認してみたいと思います。

 まずは、授業が「わかる」ということについて、皆さんの現状はいかがでしょうか。

 皆さんは「模試」、模擬試験を受けていると思います。本校の場合例年、1年生は、最初のうちは成績がよい傾向にあります。模試の出題範囲には中学校時代の復習も含まれ、高校受験の勉強をしっかりやっていた生徒が多いことも、理由の一つと思われます。しかし、回数を重ねるごとに、よい成績をとることが難しくなってきます。出題範囲に、高校の授業で学ぶ内容が増えてきます。学んだ内容がどれぐらい定着しているか。模試では、可視化されて自分で把握できます。確認してみることが必要です。

 先日の卒業式では、夏目漱石の「自己本位」という考え方を引き合いに、卒業生に餞のことばを贈りました。「自己本位」とは、自分が主、それ以外は従という考え方です。毎日の授業を振り返ってみると、皆さんから見れば、例えば教えている先生が、授業の内容をよく理解している、あるいは、友だちが理解している、そうしたことは、ここでいう「従」ということになります。大切なことは、その授業の内容を、皆さん自身がどこまでわかっているか、理解しているか、そして、授業で学んだことを定着させているか、ということです。実は、模試の結果は、そのことを皆さんに伝えてくれています。

 授業の内容をしっかり理解していることで、模試の成績も向上します。新たな学年になっても引き続き、毎日の授業を理解することに力を入れて欲しいと思います。

 ところで、20日の月曜日には、卒業生による「受験速報会」が行われました。受験を終えたばかりの先輩のアドバイスは大変貴重なものですが、参加した2年生は、熱心にメモを取ったり、積極的に質問したりしていました。会場を回りながら耳を傾けました。

 大学に合格した卒業生の多くが、しっかりとした考えをもって志望校を選定していました。印象的だったのは、2年生のときにオープンキャンパスで大学を訪れ、この大学で学びたいと強く思うようになり、受験勉強に本気で取り組むスイッチが入ったという話です。自分のオリジナルの理由を持っている生徒は強い。そう感じました。

 また、志望校には合格したものの、本音では、もう少し難易度の高い大学で自分の力を試してみたかった、と話す卒業生もいました。昨年11月の2年生対象の進路講演会の「蕨高生は難関国公立大を目指すべき」との話を思い出しました。志望校を選定する際は、その系統の最難関の大学・学部を選ぶことが大事なのではないかと思います。

 春休みは短いです。部活動などで忙しい方も多いと思います。しかし、現在の立ち位置を確認し、向こう1年間の新たな戦略を立てるのもまさに「今」であると思います。

 もう一つ。受験速報会では「英語で苦労した。3年生になった段階で、英語がある程度仕上がっていると精神的に有利。ほかの科目に多くの時間を割くことができる」という話も聞けました。4月といえばGTECです。しっかり準備して、セファールのB1、B2の取得に向け、頑張っていきましょう。また、令和5年度は、3年間中止を余儀なくされた、オーストラリア2週間の海外派遣事業の募集を再開する予定です。一定の費用は掛かりますが、海外体験の大きなチャンスです。ご家族と相談いただき、積極的にチャレンジしていただきたいと思います。

 4月には、皆さんと同じように「Wの挑戦」ということばに共鳴した新入生が入学してきます。皆さんも上級生として「挑戦する蕨高生」を実践していきましょう。

 以上で校長講話を終わります。新学期もよろしくお願いします。

3月全校集会 壮行会 校長より激励

 ただ今紹介がありましたが、バトン部の皆さんは、今月29日に千葉県の幕張メッセで行われる USA School&College Nationals 2023に出場されるということです。

 まずは、全国大会への出場おめでとうございます。

 バトン部の皆さんは、11月に行われた全日本チアダンス選手権決勝大会、12月に行われた全国高等学校ダンスドリル冬季大会に続き、今シーズン3度目の全国大会出場ということです。

 今回は12月に行われた地区予選にあたる東京大会において、高校編成SONG/POM部門を1位で通過しての全国大会出場とのことです。全国大会でも、日ごろの練習の成果を大いに発揮して、活躍されることを期待しております。応援しています。

 以上で激励を終わります。

海外に行こう(生徒会誌『さわらび』第60号校長のことば)

 目の前に『Sawarabi No.20』と書かれた一冊の白い小冊子がある。1983年3月10日(木)、卒業式の日にいただいた。卒業アルバムとともに保存してあったものだ。

 「生徒会活動の記録」や「クラス紹介」は現在も続いているが、この小冊子には「特別寄稿」として、英語科の教員とオーストラリアに留学した生徒の体験記が掲載されている。在学中にも留学生がいた記憶がある。本校の外国語科の設置は1994年。11年も前から本校は国際理解教育に熱心であったことがうかがえる。

 11月に、3年生の英語の授業を見学する機会を得た。共通テストを念頭に置いた授業であったが、これまで学んだ知識の確認を次々繰り出す教員に対し、多くの生徒が楽しそうに応じていた。まさに、英語の学びを楽しむ雰囲気に満ち溢れていた。こんな授業を受けることができていたら人生変わっていたかも、と思い、3年生を羨ましく思った。

 さて、現在の我らが蕨高校は外国語科を設置しており、普通科の生徒も含め、高いレベルの英語教育を受けることができる。すべての蕨高生は、この高校に在籍しているということに誇りを持ってもらいたい。何はともあれ「英語だけは誰にも負けない」という気概を持つことが重要である。

 コロナ禍もあり、渡航による海外交流事業がなかなかできない中ではあるが、特に卒業する3年生は、海外を目指してほしい。11月9日にフランス語選択者を対象としたハイチ大使館員による授業があったが、何人かの生徒は英語で質疑応答をしており、頼もしいと感じた。様々な国から人が集まるからこそ、英語が武器となり、コミュニケーションを取ることができる。蕨高校で英語を頑張った3年生は、自信を持って次のステップに進んで欲しい。これからの時代は、学部であれ院であれ、海外留学のチャンスが必ずある。お金をためて海外旅行でももちろんいい。社会に出る前に、海外での体験をより多く持つことを強くお薦めする。

 11月11日の日経新聞によると、2021年の米国の平均賃金は7万5000ドル。日本人の平均年間給与は約3万ドルということで、日本の賃金は米国の半分以下ということである。同じ仕事をしても、米国では日本の倍以上の給与を得ることになる。これからの大学生は、就職活動においてもグローバル企業を念頭に置くべきであり、その際、武器になるのは海外経験の有無である。蕨高卒業生の可能性は無限大。皆さんの将来に大いに期待している。

 在校生は、4月にGTECがある。CEFR(セファール)でB1を取れば英検2級相当、B2なら英検準1級相当である。日ごろの英語への取組の成果を確認するチャンスである。今からしっかり準備して臨んでもらいたい。

第64回卒業証書授与式 式辞

 今年もまた早蕨の芽吹きが春の到来を告げ、すべて生命あるものが生き生きと躍動を始めるこの佳き日に、保護者の皆様のご臨席のもと、埼玉県立蕨高等学校第64回卒業証書授与式を挙行できますことに、改めてお礼と感謝を申し上げたいと存じます。

 卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。皆さんはこの大切な高校3年間、コロナ禍の中で本当につらく、困難な日々が続いたことと思います。しかしながら、様々な困難を乗り越えて、今日という晴れの日を迎えることができました。この特別な経験は、将来必ず役に立つことと思います。そして、この困難なときを同じ場所で、同じ高校で過ごした仲間たちとの絆は、特別な絆なのではないかと思います。皆さんにとって必ずや大切な財産になると思います。

 さて、本日、蕨高校から船出をしていく皆さんに、餞のことばを贈りたいと思います。それは、「自分で考えて行動する」姿勢を持ち続けて欲しいということです。

 さわらび会館前の「考える人」の彫刻は、皆さんもご存じだと思います。平成元年度卒業の31期生による卒業記念品とのことです。私は本校の24期生ですが、昨年4月の着任以来、本校があまりにも素晴らしい学校になっていたことに大変驚きました。勉強にも部活動にも学校行事にも全力で取り組む生徒のスタイルは、今目の前にいる皆さんが最上級生として築いてくれたものだということには、すぐに合点がいきました。これを仮に「不易と流行」の「流行」と捉えたとき、それでは「不易」は何なのか。24期の私たちのころから脈々と受け継がれているものが何か残っているのではないか。そう考えました。

 実は本校は、同窓会活動が大変盛んです。50歳を迎える卒業生を「ホームカミングデー」として学校に招いています。この2年間はコロナ禍を受け、中止を余儀なくされてきましたが、昨年ようやく29期、30期、31期と実施することができました。24期生の私は、昭和62年に教育実習生として2週間、蕨高校にお世話になりましたが、昨年本校を訪れた卒業生は、このときの3年生、2年生、1年生でした。31期生からは、「考える人」の由来も聞くことができました。目まぐるしく揺れ動く世の中で、じっくり腰を据えて考える時間を持って欲しい。そんな願いを込めて建てた記念碑であるとのことでした。

 つながった。そう思いました。

 蕨高校は以前から、じっくり考えること、考えて行動することを大切にしてきました。だからこそ、卒業生の皆さんの人生という長い旅路の安全を祈願するお守りとして、本校の伝統も踏まえ、「自分で考えて行動する」姿勢を持ち続けて欲しいということばを贈りたいと思います。

 このことに関連したエピソードを一つお話しします。

 皆さんは小説『こころ』を書いた「夏目漱石」をご存じのことと思います。漱石はもともと英文学の学者でしたが、大学を卒業して英語の教員として松山や熊本で教鞭をとり、政府の命により官費でイギリスに留学し、英文学の研究を行います。漱石によると、当時、英文学の研究と言えば、他人が読んだ批評を鵜呑みにして有り難がる風潮が横行していたということです。漱石はそうした風潮に馴染めず、留学先のロンドンでも苦悩は続き、神経衰弱を患いながら格闘しました。

 その中で、英文学というものを「ものにする」ためには、自分が作品を読み、自分が感じたことを論ずる以外道はないと悟るに至ります。ここで漱石が得たのが「自己本位」ということばです。「自己本位」とは、自分が主で、それ以外は従であるということです。漱石は、この四文字を握ってから、大変強くなったと言っています。

 実は私は大学で国文学を専攻しましたが、卒業論文を執筆するにあたり、蕨高校の3年生のときに現代文の授業で学んだ、大江健三郎のエッセイにヒントを得ました。タイトルは「〝記憶してください。私はこんな風にして生きて来たのです″」といいます。『こころ』の「先生」が、遺書の中で主人公の「私」に語りかけることばです。このエッセイの中に「明治の精神」ということばが出てきます。「先生」が「殉死をするならば、明治の精神に殉死するつもりだ」というくだりに出てくるものです。「明治の精神」とは何か。また、それなら「昭和の精神」と呼ぶべきものはあるのか。こんな点に疑問を抱き、深掘りして卒業論文を書きました。この過程で出会ったのが漱石の「自己本位」です。社会人としてスタートした後も、この考え方をとても大切にしてきました。

 言うまでもなく、人生は山あり谷ありです。私が高校を卒業してからの40年間を振り返っても、バブル崩壊、阪神淡路大震災、アメリカ同時多発テロ事件、リーマンショック、東日本大震災、コロナ禍、そしてウクライナ侵攻と、まったく想像すらできなかったことばかり起きました。そして、世界はつながっています。経済的な状況も含め、個人の生活にも大きな影響が及んできます。

 人生は、決断の連続です。そのときそのとき、最善と考える決断を、自らが行わなくてはなりません。さらにこれからの皆さんは、パートナーができ、子どもを持つなど、守るべき大切なものが増えてきます。自分が何かに了解を出す場面では、最低限、自分が理解している、自分がわかっているということが重要です。自分がわからないものにはOKを出さない。まさに「自己本位」です。そして、自分の決断には責任を持つ。後悔をしないためには、結果が悪いときこそ「自分の責任」と思えることがとても重要です。

 人生百年時代。生涯学び続ける姿勢が求められています。とはいえ、社会に出ると猛烈に忙しくなるのもまた事実です。これから皆さんが大学で学ぶ時間は貴重なチャンスです。将来、「自分で考えて行動する」ために、しっかりと学び、自らの教養の引き出しをどんどん増やしていただきたいと思います。応援しています。

 ここで、保護者の皆様に申し上げたいと存じます。これまで蕨高校の教育にご理解とご協力を賜りありがとうございました。お子様がこのように立派に成長され、新しい人生に旅立つ逞しい姿に、心から祝福を申し上げます。卒業は、本人の努力の結果であることは言うまでもないことですが、それを支えたご家族の皆様の力強い励ましがあったおかげだと思います。このことに対し、心から祝意と敬意を表したいと存じます。

 結びに、本日ご臨席を賜りました皆様に重ねてお礼申し上げますとともに、64期卒業生350名の前途洋々たる人生を心から祈念し、式辞といたします。

 令和5年3月15日

埼玉県立蕨高等学校長 山本 康義 

初一念を貫き通す覚悟を(『蕨高新聞』第161号 巻頭言)

 目の前にあるのは昭和58年3月10日(木)発行の『蕨高新聞』第81号。卒業時にもらい、そのまま卒業アルバムに挟んでおいたものだ。茶色に変色しているが、記事は読むことができる。表題は当時の校長のことばである。私を含め、まだまだ多かった進学準備の卒業生に対する温かい励ましの気持ちのこもった一節である。

 改めて64期生の皆さん、卒業おめでとう。表題の「初一念」とは、最初に思い立った一念のこと。私は当時の校長にこのことばをいただいて卒業したが、40年を振り返ってもまったく色褪せない輝きを持っている。よって64期生の皆さんに、敢えて餞としてこのことばを贈りたい。

 私事で恐縮であるが、11月に大学のサークルのOB会に出席した。久しぶりに再会した先輩から「高校の校長か。お前そう言えばずっと『教育』やってるな」と声をかけられた。このサークルは弁論を扱うサークルで、私は1年次からサークル内の「教育問題研究会」に所属していた。先輩はそのことを覚えていた。確かに私は大学を卒業してそのまま教壇に立ったので、一貫して「教育」に携わっていることになるが、そのきっかけは現在本校で「講義室」と呼ばれているB棟1階の旧「2年7組」にあった。ここで多くの仲間や恩師の先生方と教育について熱く語り合ったことが原点となり、現在に至っている。

 64期生の皆さんは、自らの将来を真剣に考え、選んだ進路先に進むことと思う。是非とも「初一念」を貫き通し、グローバルな舞台で活躍していただくことを願っている。