校長室より

校長室より

第1回学校説明会 校長あいさつ

 皆さんこんにちは。校長の山本と申します。本日はお暑い中、本校の第1回学校説明会にご出席を賜りありがとうございます。

 本日は、中学3年生とその保護者の皆様にご出席いただいております。現在の中学3年生は、この後2024年に高校に入学し、現役で進学すると、2027年に大学1年生、順調に行けば、2030年に大学4年生。大学院等への進学もございますが、多くの方が就職活動に忙しい、ということになると思います。

 2030年。皆様にとっても、聞き覚えのあるキーワードなのではないかと思います。

 実は、現在の学習指導要領は、2030年の社会を生きる子どもたちを想定してつくられています。「子どもたちの65%は将来、今は存在していない職業に就く」や「今後10年~20年程度で、半数近くの仕事が自動化される可能性が高い」などの予測を、皆様も一度はお聞きになったことがあるのではないかと思います。その2030年に、今この会場にいる中学3年生の皆さんは、先頭を切って就職活動に挑んでいくということになります。

 それでは、その2030年に向け、皆さんは高校、大学を通じて、どのような力を身につけていけばよいのでしょうか。

 東京大学の鈴木寛教授は、AI時代に求められる能力としてわかりやすく、「想定外」「板挟み」「修羅場」、この3つを乗り越える力であると言われています。これは、一つにまとめると「調整力」、または「交渉力」と言い換えてもよいかもしれません。

 中学生の皆さんも、チャットGPTなどの所謂「生成AI」についてご存じの方も多いと思います。これまでの仕事では、資料などをつくる際、「完成度は7割でいいから早くつくれ」と言われてきました。仮に今後、この「7割の完成度」をAIが行うとなると、資料作成はこの時点から始まることになります。わずかな修正で完成となり、飛躍的に時間と労力が短縮されます。職員の人数も削減されていくでしょう。このようにあらゆる事務作業をAIが代替していく時代にあって、最後に必要となるのは、人と人の間をつなぐ「調整力」、または「交渉力」ということになるのではないかと思います。

 それではここで改めて、私たち蕨高校の教育について紹介させていただきます。恐れ入りますが、お手元の学校案内を開き、3ページをご覧ください。

 本校の「目指す学校像」は「生徒の進路希望を実現する文武両道の進学校~グローバルな視点を持ち次世代のリーダーとして活躍できる人を育てる~」でございます。本校の生徒はほぼ100%、高校卒業後の進路として、大学進学を希望しております。いわゆる旧帝国大学や、早稲田大学・慶応大学などの難関大学を志望する生徒も多くおります。本校は、この進路希望を「文武両道」、学習にも、部活動にも、学校行事にも全力で取り組むことで実現するということを、学校全体として目指しております。

 さらに、本校は外国語科を併設していることもあり、国際交流が盛んです。これらを踏まえ、「グローバルな視点を持ち次世代のリーダーとして活躍できる人を育てる」ことを、「目指す学校像」に追加しております。

 高校3年間、「文武両道」を貫いて高いレベルの進路希望を実現することは、決して簡単なことではありません。そのための具体的な方策として、本校では「蕨高ビジョン」を定め、学年ごとに、共通の目標を立てております。このことにより、学校が一丸となって、目指す学校像の実現に取り組む体制を構築しております。

 合言葉は「Wの挑戦」です。「W」が二つあるわけですが、その一つは「挑戦する蕨高生」、「蕨」のローマ字の頭文字の「W」です。もう一つの「W」は二つのこと、「確かな学力」と「困難に負けない強い精神力と困難を切り抜ける柔軟な発想や思考力」を身に付けることを示しています。

 先ほどお話しした「AI時代に求められる能力」としての「想定外」「板挟み」「修羅場」の3つを乗り越える力は、本校の「文武両道」の3年間で、学習はもとより、皆さんが希望して参加する「部活動」や「学校行事」における委員会活動などを通じてこそ、本当の意味で身に付けることができると考えます。

 最後に「カリキュラム」についてお話しします。普通科のカリキュラムは、文系・理系に分かれるのは3年次のみで、1・2年生では共通のカリキュラムとなっています。文系にあっても理系の科目を、理系にあっても文系の科目をしっかりと学習することで、国公立大学など、進路選択の幅を広げることができます。また、外国語科では、外国語科の専門科目を1年生で週8時間、2・3年生で週10時間確保しています。将来、グローバルな場面で「調整力」「交渉力」を発揮できるよう、外国語を使った高いレベルのコミュニケーション能力を身に付けていきます。

 冒頭でお話しさせていただいた「2030年」は7年先です。AIが今以上に普及し、当たり前になり、なくなる仕事も徐々に明確になる中、新しい仕事も増えてくると思われます。しかしながら、こうした未来の変化に対し、情報を集めて予測を立て、しっかりと備えていくことが大切であると考えます。

 高校はどこも同じではありません。「Wの挑戦」を掲げる蕨高校は「文武両道」、AI時代に求められる能力である「調整力」「交渉力」を本当の意味で身に付けることができる環境を、皆様に提供してまいります。

 それではこの後、本校の職員や生徒から、さらに詳しく本校の特長について説明させていただきます。ぜひとも、本校を皆様の高校選択の一つに加えていただきますようお願いいたします。私からは以上です。よろしくお願いいたします。

同窓会会報『紫霞55号』巻頭挨拶文

 5月の新型コロナウイルス感染症の5類への移行もあり、少しずつ様々な行事が動き出しています。本校は外国語科を設置しており、国際交流事業が盛んです。海外への渡航による交流事業はコロナ禍を受け、中止を余儀なくされてきましたが、いよいよ今年は、オーストラリアへの短期派遣事業を再開します。7月下旬から8月上旬にかけ、28名の生徒をオーストラリア東部のコフスハーバー市に派遣します。学校を代表して派遣される生徒には、十分な事前学習を行い、充実した研修を行うことを期待しています。

 また、昨年12月に春日部高校で開催された「エンパワーメントプログラム」では、同窓会から手厚いご支援を賜りました。私も視察に行きましたが、国内の大学で学ぶ外国人留学生が、生徒4、5名の班につく形で3日間、英語のみで行われるリーダー育成のプログラムでした。一定の成果を挙げることができたのではないかと思います。

 今年の1年生は67期ですが、本校で初めて「一人一台端末」を導入しました。多くの授業で活用しています。これからさらに研究を深め、授業改善につなげてまいります。

 この春卒業した64期生も、国公立大学の現役合格件数は、本校歴代2位の105件と健闘してくれました。24期の私のときは24名でしたので、近年の蕨高生の頑張りには目を見張るものがあります。過去を振り返りますと、本校躍進の時期と、創立50周年、60周年の時期に、どうやら強い相関がありそうです。つまり、同窓会の皆様と力を合わせて周年行事を盛り上げていくことで、意気に感じた生徒たちが頑張って成果を挙げる、そんなポジティブな相関関係が見て取れるようです。次の創立70周年は、71期生入学の年、令和9年ごろと思われます。同窓会の皆様と力を合わせ、未来の蕨高生たちの力をさらに伸ばしていく礎を、ともに築いてまいりたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。

7月全校集会 校長講話

 おはようございます。前期の全校集会を迎えました。明日から夏休みが始まります。1年生は林間学校です。先生方には、本当に数多くの夏期補講を設定していただきました。補講を申し込んだ生徒の皆さんは、しっかり出席して、学んだ内容をものにしていただきたいと思います。

 夏休みを有意義に過ごすポイントは、12日の講演会で久保田先生がおっしゃった通り、朝早く起きて、夜は早く寝るというスタイルを確立することです。この生活スタイルを夏休みの期間中続けることができれば、勝ったも同然です。皆さんの頑張りに期待しています。

 さて、6月に、一人の本校の卒業生に会いました。57期で外国語科卒業といいますから、ちょうど1年生から見ると10期先輩ということになります。場所は、南麻布にあるヨーロッパハウスといって、駐日欧州連合代表部の大使館があるところです。

 当日は、環境に関するEUの考え方に共鳴した日本全国の市町村長さんが集まっていて、各市町村における環境への取組について、若者代表の意見を聞くというイベントが行われていました。本校の卒業生は、ユースNGOの代表として、駐日欧州連合大使の隣で、流暢な英語を駆使してプレゼンを行っていました。市町村長さんたちは、ヘッドホンに耳をあて、同時通訳で彼女の主張に耳を傾けていました。

 彼女は本校では剣道部に所属していました。津田塾大学に進学し、1年間ロンドンに留学したそうです。現在は一橋大学大学院の修士課程2年生で、省庁訪問を経て、来年4月からはキャリア官僚として、日本の発展を支えていく仕事に就くことになります。

 彼女の関心がある分野は安全保障だということです。決してやさしい分野ではないと思いますが、使命感をもって国際社会の課題解決に挑戦していく姿勢に、頼もしさを感じました。本校の「目指す学校像」では、「グローバルな視点を持ち次世代のリーダーとして活躍できる人を育てる」と謳っていますが、実際に卒業生に接してみて、蕨高校の人づくりの方向性に確信を持つことができました。

 ところで、卒業生との懇談会などでは、多くの卒業生から、進学先の大学を選んだ理由として「自分の力を試したかった」という声を聞いています。本校の進路指導では「大学進学の先を見すえて目標は高く」と掲げていますが、同じ努力をするなら「環境にこだわる」ことが大切なのではないかと思います。「蕨高生は難関大学を目指すべき」とよく言われますが、なぜ難関大学を目指すのでしょうか。同じ4年間を過ごすなら、全国から精鋭が集まる環境で、自分がどこまでやれるのか、自分の力を試してみたい。そんな思いを持つ生徒が、少しずつ増えてきているのではないかと思います。考えてみれば、私たちは「Wの挑戦」の旗印のもと、「挑戦する蕨高生」として集まっています。

 いわゆる「生成AI」の普及が進み、将来、どんな職業が引き続き必要で、どんな職業がなくなってしまうのか、本当にわからなくなってきました。10年先のことは誰にもわかりません。だからこそ、自分を成長させてくれる環境選びに妥協せず、目の前の課題に真摯に取り組む姿勢が重要になってくるのだと思います。

 さあ、いよいよ夏休みです。お互いに、ベストを尽くして頑張っていきましょう。

放送委員会 全国大会壮行会 校長より激励

 まずは、第70回NHK杯全国高校放送コンテスト出場おめでとうございます。

 今回出場する朗読部門ですが、昨年度のデータによると、全国から4,958名が都道府県大会にエントリーして、全国大会には294名が参加しています。全国大会に出場するだけで、実に16.9倍の難関を勝ち抜いてきたことになります。

 今月25日からの大会では、芥川龍之介の作品の一節を朗読すると聞いています。テレビのニュースもAIによる自動音声が読み上げている時代ですが、人の心に残る「温かい朗読」というものは、今後も変わることなく残っていくのではないかと思います。

 全国大会に出場するだけで価値のある大会です。当日は思い切り、自分の力を試していただきたいと思います。頑張ってください。応援しています。

蕨高新聞第162号 「環境」にこだわろう

 生徒が勉強に、部活動に、学校行事に全力で頑張る現在のこの校風は、どのようにしてできたのだろうか。

 蕨高校は一つの箱。どんな中学生であっても、一度この箱に入ると、皆このように全力で頑張るようになるのか。それとも、こうした校風に共鳴した中学生のみ入学してくるので、自然と全力で取り組むことが当たり前になるのか。

 これが「伝統の力」というものではないか。本校は開校以来、生徒、教職員、地域の方など関係する方々の多大なる尽力により現在の校風を築き、生徒はのびのびと高校生活を楽しむことができている。皆様に感謝するとともに、この素晴らしい学びの「環境」を、さらに素晴らしいものにしていきたいと思う。

 さて、昨年11月のFIFAワールドカップは記憶に新しいところであるが、元日本代表の本田圭佑氏の解説も大いに話題になった。その本田氏が、今年3月の近畿大学卒業式でゲストスピーチを務め、次のように述べている。

 夢を叶えるために必要なことは「環境にこだわれ」ということ。成果が出せない人は環境にこだわっていない。環境にこだわらないでめちゃくちゃ頑張っている。サッカーで言えば、レベルの高いいい環境で毎日練習をすることで、いい習慣が当たり前になる。

 皆さんは夢を叶えるため、日々学習に取り組んでいる。志望校の選定に際しては、ぜひ「環境」にこだわってほしい。皆さんの夢を叶えるよい授業、よい仲間、よい実績が揃った大学はどこなのか。

 「大学はどこも同じ」では決してない。皆さんの夢を叶える「環境」にこだわってもらいたいと思う。