校長室から

校長室から

第63回入学式

 去る4月8日、本校の平成31年度 第63回入学式が挙行され、晴れて363名が蕨高生となりました。
 新入生代表による「新入生宣誓」では、入学までの日々を振り返り、中学校までの学びで培った力と努力で高校受験の壁を乗り越えたことや、これまで支えてくれた方々への感謝、最後に蕨高生としての決意の言葉で締めくくられるという、とても立派な誓いの言葉を述べてくれました。また、後援会会長様による来賓祝辞では、蕨高校のファンになっていただいていることが感じ取れるやさしく温かい言葉で、新入生に対する祝福と励ましをいただきました。
 新入生の皆さんには、改めて入学のお祝いを申し上げるとともに、この蕨高での3年間を充実したものにしてもらえることを心から願っています。


入学式式辞

 新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。蕨高等学校を代表して皆さんを歓迎するとともに、心よりお祝いを申し上げます。

 そして、本日ここに、ご来賓の方々、並びに保護者の皆様のご臨席のもと、平成31年度 埼玉県立蕨高等学校 第63回入学式を挙行できますことは、本校にとりましてこの上ない喜びであります。

 

 本校は、昭和32年に当時の蕨町によって埼玉県蕨高等学校として開校されました。2年後の昭和34年には、蕨町の市制施行を期し埼玉県に移管され、埼玉県立蕨高等学校と改称されました。以来、まさに地元地域の皆様からの期待と信頼に応える県内有数の「文武両道の進学校」として、輝かしい歴史を刻んできております。

 今日から皆さんは、24,000人近くの立派な卒業生を送り出してきた伝統ある本校の63期生です。蕨高生としての「プライド」と責任をしっかり胸に抱き、存分に蕨高生活を楽しんでください。

 

 さて、現代は「変化の時代」だと言われています。少子高齢化や地方の過疎化、生産年齢人口の減少などの社会課題への対応、AIやIoT、ロボット、ビッグデータなどによる新たな価値の創造などにより、これまでの社会の延長線上にはない、劇的な変化が起こり始めています。

 皆さんは、こうした劇的に変化する社会の中で、世の中の未来を築くリーダーとして、人生を逞しく豊かに生きていくことになります。ですから、皆さんには高い「志」を持って、3年間の蕨高生活で、人生を逞しく豊かに生きるための土台を築き上げてもらいたいと思います。

 

 そこで、今日は3年間の蕨高生活でぜひ成し遂げてほしいことを3つ挙げてみます。

 

 一つ目は、人生を切り拓いていくための「基本」をしっかり身に付けること。

 この「基本」には知識とスキルの両方が含まれます。物事を正しく判断し、思考を深めていくには、幅広い基礎的な知識、つまり「教養」が必要です。何を考えるにもそのベースとなる知識がなければ、考えを深めることはできません。その意味で、「教養」は豊かな人生を送るための必須条件です。「リベラルアーツ」の重要性がとかく話題になるのも、当然といえます。

 でも、自分でどうやって「教養」を身に付けるのでしょう。わからないことをどうやって理解したり、あるいは解決するのでしょうか。勉強しようにも、自分なりのやり方が確立できていなければ、成果は期待できません。つまり、自分なりのやり方、スタイルといった「基本スキル」、自分なりの勉強法、課題対応法をものにしておかなければなりません。

 どんなことでも、できるようになるには「基本」を身に付けなければなりません。自転車を例に考えてみましょう。自転車に乗れるようになるまでには、三つの段階があります。補助輪をつけて基本操作を身につける第1段階。補助輪を外して後ろを支えてもらいながらバランス感覚を身につけていく第2段階。そして、ようやく自分一人で自由に自転車に乗れるようになる第3段階です。第3段階まできて、はじめて自分の好きなように「自走」できるのです。このときの第1段階と第2段階で身につける操作・感覚が「基本スキル」です。この「基本スキル」なくして、第3段階はないのです。何ごとも基本が大事。この機会によく確認しておいてください。

 

 二つ目は、自分の頭をフル稼働させて、様々なことに本気でチャレンジすること。

 ポイントは、「自分の頭で考える」こと。勉強でいえば、本に書いてあること、先生に教わったことをただ覚えても、それで理解したことにはなりませんし、多くの場合、ほどなく忘れてしまうでしょう。「なぜ」の問いを大切にして、納得がいくまでよく考えてこそ、理解ができるのです。精一杯考え続けてこそ、ひらめきも生まれます。

 部活動も然りです。実は、日々のこの姿勢が、変化する社会の中で状況を正しく理解し、課題を特定して課題解決を図っていく力を養うことにつながるのです。

 もう一つのポイントが、「本気でチャレンジする」こと。そして、失敗と挫折を今のうちに経験することです。本気でチャレンジをすれば失敗もします。失敗すれば挫折感に打ちのめされもします。でも、その経験が「レジリエンス」を高め、皆さんをタフな心の持ち主にして、更なる高みへと導いてくれるはずです。

 日本人初のノーベル賞受賞者の湯川秀樹博士は、「自分の能力は、自分で使ってみなければわからない」、「取り返しのつかない大きな失敗をしたくないなら、早い段階での失敗を恐れてはならない」という言葉を残しています。自分にどんな能力があるのかは、挑戦してみなければわからない。人は誰でも挫折を経験しながら成長していくものなのだから、取り返しのつかない大きな失敗や挫折をしないためにも、社会に出るまでに失敗や挫折を経験することは、とても重要なことです。

 

 三つ目は、仲間との高校生活を大切にすること。

 何をやるにも近くに同級生や先輩、後輩、つまり仲間がいる環境が、全日制高校である蕨高校というところです。そして、本校の生活で皆さんの成長を促すのは、先生方からの指導や助言、励ましだけではないのです。仲間同士で教えたり教わったり、おしゃべりをしたり、一緒に練習したり、議論したり、励ましあったり、そして本気で取り組む仲間の姿に刺激を受けたりと、仲間との日々の生活で切磋琢磨することが、互いを高め合い、仲間とともに皆さんを大人にしていくのです。ぜひ、仲間を大切にし、仲間との蕨高生活を思い切り楽しんでください。

 

 保護者の皆様におかれましては、お子様のご入学、心からお慶びを申し上げます。

 私たち教職員は、お子様の力をしっかり伸ばし、一人一人の成長と夢の実現に向けて、全力を尽くしてまいります。

 どうか、ご家庭におかれましても、本校の教育にご理解とご協力をいただくとともに、お子様の基本的生活習慣や家庭学習定着へのご指導に、格別のご協力をお願い申し上げます。

 

 結びに、ご来賓の皆様、並びにご列席の皆様の益々のご健勝、ご発展をご祈念申し上げるとともに、今後とも変わらぬご指導とご鞭撻をお願い申し上げ、式辞といたします。

前期始業式

 蕨高に着任して、2週間と少しが過ぎました。蕨高生は、日々の授業に部活動にと、元気な姿を見せてくれています。
 これから適宜、校長室から蕨高校の様子をお知らせしたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 

 さて、去る4月8日に平成31年度の前期がスタートとしました。当日の始業式では、新2、3年生を前に蕨高生の「プライド」について話をしました。



 皆さんは、蕨高生であることに「プライド」を持っていることでしょう。自ら進んでこの蕨高校への入学を志し、見事難関を突破して今日もこうして蕨高校の制服を身に纏い、蕨高生活を送っているわけですから、当然のことですし、そうでなければなりません。

 

 「プライド」を辞書で調べると、「誇り」とか「自尊心」、「矜持」といった意味がでてきますが、まさに皆さんが蕨高生としての「自信」と「誇り」を持って、堂々と振舞うこと。これすなわち「プライド」を持つ者の「責任」です。「プライド」を持つということは、自分に対する自信と、自信を持ち続けるための「責任」を負うということです。「プライド」を持つ者が、自らを律し、「プライド」を持つに足る振る舞い、努力をする。そのことが、その人を成長へと導き、続く人たちに憧れを抱かせる。皆さんは、まさに蕨高生を体現しているわけです。蕨高校の伝統も、このようにして発展し、受け継がれてきています。例をあげると、今着ている制服。校章のついた制服は、蕨高生である皆さんしか着ることができません。それを着ている皆さんは、自らが蕨高生であることを世間に宣言していることになります。この時、大事なのは着ている皆さんの心持です。自分が蕨高生であることを常に意識する、自らを律し、自信と誇りを持って正々堂々と振る舞うための仕掛け、それが制服です。部活動のユニフォームやジャージも同じです。着ている自分自身を密かに誇らしく思い、その思いに負けない振る舞いをしようとする気持ちが、大切だということです。そう考えれば、制服やジャージ、ユニフォームに愛着と誇りを持つのはもちろん、どう着こなすか、どう振る舞うかも自ずとわかるでしょう。常に自分を意識する、そうした生活が、皆さんを成長へと導くことになります。

 

 そこで、「プライド」ある蕨高生に期待していることを、一つだけ述べてみます。

 蕨高校に入学できた君たちの力を持ってすれば、将来の可能性は限りなく広がっているといっていい。そういう皆さんに、湯川秀樹博士の言葉を紹介します。日本人初のノーベル賞、ノーベル物理学賞を受賞された方ですが、その言葉に「自分の能力は、自分で使ってみなければわからない」というのがあります。自分の可能性を過小評価せずに、様々な分野に間口を開いて、チャレンジしてみることが絶対に必要だということです。それもこの高校生から大学生のうちにです。

 このような話をすると、失敗したらどうすると思う人がいるでしょう。はっきり言って、本気でチャレンジすれば、失敗することは当然ある。本気の挑戦に失敗はつきものです。失敗すれば、本気であればあるほど、挫折感も大きい。でも、挫折を経験することがとても大切なのです。挫折から立ち直るすべを早く身につけることが、大人になる上では絶対に必要です。先ほどの湯川博士はこのことについても、「取り返しのつかない大きな失敗をしたくないなら、早い段階での失敗を恐れてはならない」と言っています。

 

 蕨高生でいられるのも、あと1年か2年です。「プライド」ある皆さんには、蕨高生として様々なことに挑戦し、知力、体力、そして「レジリエンス」を高め、高い「志」とタフな心の持ち主になってもらえることを、強く期待しています。